3DプリンターEnder-3を使って、評価テストやアップグレード、独自改造を行っています。
今回はZ軸フレームの傾きを微調整することが出来て、更にフレームの補強となるステーを製作しましたので紹介します。
製作の目的
前回、前々回とZ軸方向に関わる直角度の確保を目的とした調査、改善検討を進めてきました。デュアルZ軸化により安定したX軸の水平精度向上が見てきました。
また、Y軸を支えるフレームがベ―スとなるフレームに対し、傾きが生じていることも発見しました。
更に、Z軸を支える左右のフレームが前後に傾いていることも分りました。
精度向上を目指すうえで、これらの状況を見逃す訳にはいきません。
と言うわけでZ軸の傾きを改善するステーの製作に至りました。
どのようなステーにしたいか
以前より気になっていましたが2040アルミフレームを採用したZ軸フレームですが、前後方向に対する強度が十分とは言えない構造です。
実際、使っているうちにフレームの傾き状態が変化してしまったことも経験しました。
このようなことから、新規ステーはZ軸フレームをガッチリ固定できるこが基本となります。
更にY軸動作に対してZ軸動作は直角でないといけません。
前々回の記事でも記載しましたが、Y軸を支えるフレームはベースフレーム(4040フレームでH形に組まれた土台)に対して、1.2mm/220mm程度の傾きがあることがわかっています。
Y軸フレームの傾きを修正することは容易ではありません。
簡単な修正方法があればいいにですが、今の私には思いつきません。
それで今回採用した方法が、Y軸の傾きに合わせたZ軸のフレーム角度調整をすることで相殺されるのではないかと考え、Z軸傾き微調整付き補強ステーとなったわけです。
ステーの製作
今回製作したステーになります。
Z軸フレーム上部とベースフレームの後部にネジ固定用のブロックを取付てM8の寸切りボルトを通してナットで長さ調節してZ軸の傾きを調整するというものです。
黒いパイプは、裸のM8寸切りじゃちょっとみすぼらしいので化粧用です。
印刷品以外は全てホームセンターで容易に安価に購入できるものばかりです。M8寸切りの切断だけが一寸面倒なぐらいです。
印刷したブロックは、機械的強度を考慮してPC(ポリカーボネート)を謳うフィラメントにしました。印刷時に注意することは、力の掛かる方向を考慮して積層方向をCuraで設定することです。
取付後の状態が次のようになりました。
赤〇部分の寸切りネジは固定し、黄〇部のナットでZ軸フレームの傾きを調整します。
Z軸傾き調整
前々回記事でZ軸フレームの傾き状態は、下図の通りでした。
今回の調整イメージは下図の通りです。
Y軸の傾きが1.2mm/220mmなので、Z軸の傾きを同じ比率で0.8mm/150mmとしました。
実際の作業の様子です。
赤〇部の隙間を見ながら、黄色矢印のナットを締めていきます。
ロックナットを締めて終了。左側のZ軸フレームも同様に調整固定して完了です。
問題点
今回の設計で失敗したのが、エクストルーダ押出し部が上位置でステーに干渉するので現状造形が150mm高さまでになっています。後のダイレクトエクストルーダ改造後は少し解消しますが、それでも190mm高さまでになってしまいます。私としてはそんな高い造形をしないので現状で満足しています。
今後、樹脂で作った部品の強度・変形・応力劣化が気になる所ですが、時々確認していきます。
トラブル発生!(ガラスベッド)
今回のネジ固定用の部品をいくつか印刷したところで、ベッドから剥がそうと頑張ったのですがガッチリ張り付いたまま冷めても剥がれません。力を入れて何とか剥がしたところ、ガラス面のコーティングはぎ取ってしまいました。
後の印刷でも少しずつ剥がれが拡大していきそうです。
使ったフィラメントはPC材質なので、貼り付きが強力だったと思います。今後は、フィラメント材質に応じたベッド面の選択が必要と感じました。
Z軸フレームの傾き調整を終えて(所感)
以前にX軸Y軸方向の直角度調整を行い、今回Z軸方向での直角度調整を実現でき、これで一応構造体としての精度が得られたかなと自負しています。問題は、造形物での評価なのですが、造形に時間が掛かることもあり、もう少し改造を進めた後にしっかり見ていきたいと思います。
今後の予定
次回はいよいよダイレクトエクストルーダ改造に取り組みたいと思います。まだ、品物がないので届き次第改造していきます。
ダイレクトエクストルーダ化した場合、気になるのがフィラメントの導入経路です。
私の場合、フィラメントを独立して置いているので、エクストルーダへの案内経路を構想中です。また改造後報告します。