GGの挑戦

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【Neptune 4】印刷品質向上を目指して(第1弾)

 最近は、ELEGOO社のNeputne4でのPLAフィラメントによる印刷を多く行っています。前記事では、Neputne4を約半年間使用しての感想などを記載しました。

 その中で印刷品質について、インフィル密度100%の長尺ものを印刷するときに印刷時に「ゴリゴリ」音がして印刷物のTOP面がぶつぶつの状態になる現象を紹介していました。再現性もあり、Creality社のEnder-3で製作していた時には何の問題も発生しなかったことから、Neputne4特有の問題があるに違いないと・・。
 今回の記事では、この原因究明と対策について紹介したいと思います。

テスト方法の設定

 症状を見て最初に疑ったのは、ヘッド部(エクストルーダー部)が移動時に上下に動く不安定な状態があるのではないか、ということでした。なので、テストピースは図のような幅10×長さ200×高さ5mmの直方体をX軸方向に長く配置して印刷することにしました。

テストピース

印刷終了時の状態

共通の印刷条件(スライサー設定)は下表の通りです。

スライサーでの印刷条件

そして、疑問視していたエクストルーダーのフィラメント引き込み時の摩擦抵抗があるのではと想定して、ノーマルの使用状態と摩擦抵抗をほとんど無くした対策品との比較を行うことにしました。更にフィラメントをガントリー上部から降ろして重さの影響があるのか比較してみました。

摩擦抵抗を無くした対策品の製作

 ノーマルの使用状態とは、装置の標準使用方法で、ガントリー上部に付けたスプールホルダーにフィラメントスプールを掛け、フィラメントセンサーを通してエクストルーダーに導入するという方法です。
 この場合、スプールホルダーが固定なので、フィラメント引き込み時に結構な摩擦が発生するのとフィラメントセンサー通過時の摩擦抵抗もあります。いずれも微々たるものなのですが・・。

 そして、対策品とはまずスプールホルダーにベアリングを入れた回転軸にすることです。

スプールホルダー対策品の外観

スプールホルダー対策品の断面図

更に、このままでは回転し過ぎるので、急激な引き込み力で過回転を軽減するために次のようなアブソーバー(吸収材)を製作しました
魚釣りの竿のような構造でエクストルーダーがフィラメントを「グイッ」と引っ張る力をしなやかに受ける役割をします。

テンションアブソーバー

 3Dプリンターではあまり見ない気がしますが、「テンションアブソーバー」(張力吸収材)と勝手に命名します。果たして、効果を発揮するのか・・・。
 対策品の取り付けは、標準のスプール軸取付の右側に取り付けます。

実際の装着状態

テスト結果

 いきなり結果ですが、テスト条件の分類と、テスト結果を下表にまとめました。

印刷条件の種類と結果

 対策品を使った場合の効果とインフィル密度の設定値の違いでの影響という観点でテスト品を比較してみました。
まず、①~⑦すべてのテスト品ですが、TOP面の表面粗さ具合いが見て頂けると思います。

テスト結果

左側の〇✖はTOP面の荒れのあるなしで、右側の〇✖はブリムの状態で下記に詳細を示します。
 これで明らかな違いとして、インフィル密度100→90%にすることで改善したということです。
一方、期待した対策品とは無関係にTOP面の荒れが出るということで、懸念したフィラメント引き込みによる影響ではなかったということです。

 よって、まず改善方法としては、インフィル密度を100%にしないということでした。

更に壁厚(上面底面含む)を分厚くし過ぎると同様の問題が発生しそうで今後の注意点になるのかなと感じました。(未検証)

 では、対策品は効果がなかったのか、いうことでテストピースをよく見比べてみると、次の違いがありました。ブリムを蛍光灯にかざしてみました。

ブリムの状態結果

 対策品無しでは右端のブリム部分に隙間が多く発生しており、肉眼では見えませんがパーツの本体内部にもその影響があるものと推察できます。
 一方、対策品を使用することで見事に解消されて綺麗なブリム面を形成しています。つまり、対策品を使用することで、右端側での印刷ムラが解消されることが分かりました。

追加テスト

 上記テストで大体の傾向が見えたのですが、一点確認すべき印刷条件で、印刷速度を変えた時の影響が抜けていましたので、ノーマル状態で印刷速度のみを250→60mm/sに変更して印刷してみました
 結果としては、ノーマル状態の印刷速度250mm/sでの出力とTOP面粗さ、右端ブリムの粗さ共に変わらない状態でした。つまり、印刷速度に関係なく、右端の印刷品質に影響があるということです。

まとめ

 ちょっと予想外の結果で解決しましたが、とにかくインフィル密度100%には気を付けようということと、今回製作した対策品も品質向上に役立つのではという感触を得られたことは大きな収穫でした。
 ブリムだからと言って、軽く見るのか、重要視するのか、皆さんはどちらですか?
この現象は、積層割れなどのトラブルになる可能性もあります。実際にはそのような経験していませんが、大きな改善策と思っています。

 もし、対策品についてもっと詳しい情報が必要な方がいらっしゃいましたら、プロフィール内のメールアドレスからご連絡ください。