FDM方式3DプリンターELEGOO Neptune 4を購入して1ヶ月強、それ程多くの印刷を行ったわけではありませんが、私なりの使用感を述べたいと思います。
初めに、改めて自己紹介
私は約2年半前に初めての3DプリンターとしてCreality社の Ender-3を自分の趣味用として購入し、改造や評価テスト、製作品など当ブログで紹介してきました。はっきり言ってド素人の趣味レベルのユーザーです。
なので、下記使用感や評価などは戯言程度に聞き流してください。でも、参考になることがあれば幸いです。
衝撃の性能と機能、そして使い易さ
詳しいスペックの紹介は割愛しますが、性能・機能・使い易さ、そして造形仕上がり状態、いづれも満足しています。しかも48,000円(Proは52,000円)という低価格なので、初めて3Dプリンターを買ってみようと思う方にも十分選択肢に入ると思います。
これまでのEnder-3では、DIYの感覚でマイマシーンを作ることに多くの時間を費やしていました。(まあ、学習も兼ねてですけどね・・。)
Neptune 4では、もう「改造したいなぁ」と思うところは、今のところありません。まだ、260℃以上の高温印刷はしていませんが、新しい素材での印刷も楽しみです。
感動した性能、機能は
1.印刷速度
Neptune 4は、前記事でも触れましたが、印刷速度max500mm/sという高速印刷が最大の魅力です。PLA,PETG,ABSフィラメントで推奨の250mm/s設定でベンチマークの船を印刷してみましたが、綺麗な仕上がりとなっています。
これまでのEnder-3と比較すると、感覚的に2.5~3倍ぐらい早く印刷できます。
ただ、ABSフィラメントでは造形品冷却ファンが強いとベッド剥がれが発生してしまい、試行錯誤の末、今回は冷却ファン設定を5%まで落とすことで成功しています。爆音の冷却ファンの音も気になりません。冷却ファンは成形品の仕上がりに大きく影響しますので、0%というわけにはいきませんが、爆音回避のためにも調整は有効です。以下が比較例です。
印刷速度については、今後TPUやPCなど、他の素材での検証も必要なので継続して確認していきます。
2.造形品の美しさ
印刷速度の次に驚いたのが、造形品の美しさです。高速印刷でも綺麗な表面に仕上がります。これもKlipperの効果なのでしょうか?
これを見るともう改造しようかという気になりません。フィラメント素材や気温、湿度等で印刷条件の調整が必要かと思いますが、スライサーの設定で何とかなりそうな気がします。
3.LAN経由のリモート制御
LAN環境があれば、絶対LAN経由でのリモート制御をお奨めします。Wifi機能はついていませんが、LANケーブル接続でNeptune4の操作環境が一変します。
実機で電源を入れて、レベリングの設定が完了していれば、後はフィラメントセッティングをして実機から離れられます。私はリビングのノートPCで設計作業や印刷データ作成を行っているのですが、PCから簡単に印刷開始、経過監視が行えます。操作方法を簡単に説明しますと、
- 実機の電源投入後、「設定」→「インフォメーション」でIPアドレスをメモしておきます。
(電源ON/OFFで変化することがあるので、都度確認した方が良いと思います。) - PCでの設定で、プライベートネットワーク内での共有を許可しておく必要があります。
- ブラウザー(ChromeやEdge)の頭にあるアドレスバーにIPアドレスを入力し、Enter押します。
- しばらくすると、fluidd画面が現れます。
これは、Neptune4に標準搭載されたKlipperファームウェアのフロントエンドで、直接操作することができます。
- 様々な情報が表示されていますが、とりあえず印刷をしてみましょう。
- 作成した.gcodeファイル(出来ればTFTで保存したもの)をドラッグアンドドロップで、fluidd画面の右下にある「印刷ジョブ」の欄に入れると、装置にアップロードされます。
- 印刷は、そのファイルを選んで右クリックで表示される項目で「Print」を選ぶことで、印刷動作を開始します。
USBメモリーの抜き差しの必要もなく作業が楽になりました。
この操作で私が一番うれしかったのが、全角文字のファイル名もそのまま扱えるので、大変助かります。
USBメモリーで印刷データを本機に差し込んで操作パネルからファイルを選択すると全角文字が表示されないので不便でした。
また、fluiddの操作画面からは、本体の操作パネルでは設定できないファームウェアのパラメータ設定も行えるので、操作環境を整えておくことをお奨めします。逆に操作が簡便なことから、不用意に重大な誤操作を行う可能性もあるので、その点は内容を十分に理解した上で自己責任で操作するようにしてください。
4.寸法精度
私の場合、3Dプリンターで成形したパーツを組み合わせて作品を作ることが多く、寸法精度が一番重要な要素かと思っています。更にX軸、Y軸、Z軸それぞれの直角度が出ていないと上手く組み立てられません。
曲尺を使って簡単なテストを行いこれらを確認しましたが、各軸見事にピタピタの寸法と直角度が出ていました。
このテスト内容については、また別記事で紹介したいと思います。
寸法精度ということでは、もう一つ、エクストルーダーでのフィラメント送り出し量があります。
この確認は、操作パネルの「準備」→「押出し機」で、設定値に対する実送り量測定で確認することができます。
確認してみました。なんと、1割程送り出し量が少ないことが判明(これはちょっと酷い!)。
実は、このテストをする前にABSフィラメントでのベッド剥がれが頻発し、原因究明に悩んでいたのです。
その時に気付いたのがノズルから出る樹脂の太さが何となく細く思えたので、送り出し量測定を行ったのです。
案の定、調整がズレていることが分かりましたが、操作パネルからこれを修正する術がありません。
Ender-3では、操作パネルからEstep/mm値の設定を変更することで修正ができます。
Neptune4では、それが出来ません。修正する情報を探していましたが、海外のYouTubeに修正する方法が紹介されていましたので、これを参考に修正することが出来ました。この修正方法につきましても次の記事で紹介したいと思います。
不安・不満に思うこと
魅力の多い3Dプリンターだと思う一方、Neptune4を使い始めて感じる不安・不満なこともあります。
・まず、あまりにも国内の情報量が少なく、本当にこのまま使っていて大丈夫なんだろうか?と不安になるくらいです。Ender-3の場合は、困った時、メンテナンスパーツが欲しい時、改造したい時、大体解決方法が見つかり、色々なチャレンジが出来ます。
Neptune4の場合は、海外サイトやYouTubeで何とか見つけ出すこともありましたが、もっと国内情報が欲しい。
・スライサーソフトが標準添付されているELEGOO Cura4.8.0のみであり、最新のUltiMaker Cura5.4.0ではまだサポートされていません。早くサポートされることを期待しています。
まとめ
まだ使い始めて1か月ほどですので、お触りだけの感想ですが、非常に使い易い3Dプリンターだと思います。
今後も新たな発見や役立ちそうなことがあれば発信していきたいと思います。
尚、次記事では簡単な寸法精度確認や調整方法について近日中に記載します。