GGの挑戦

3Dプリンターライフを楽しんでいます

「電動遊園地」のおもちゃを作りました

 FDM方式3Dプリンター(Ender-3,Neptune4)に関する記事を気まぐれに発信しています。
 趣味で主に製作しているのが、からくり玩具(おもちゃ)で、機械機構を色々組み合わせて他では見たことがないような、オリジナル作品作りを楽しんでいます。
 今回は、自分でも納得の作品が出来ましたので紹介したいと思います。

 構想から完成までに、約4か月! 漠然と自分でも夢物語と思いながらも、「よし!作ってみよう!」と決めたのが昨年9月でした。それが「電動遊園地」のおもちゃなんです。
 
全体の構想は

 「電動遊園地」、つまり遊園地全体を動かしてみよう、と考えたのです。既存で市販のおもちゃでは、単独の遊具のものはよくありますが、複数の遊具を同時に動かすような、つまり遊園地全体を動かすようなおもちゃは見たことがありません。そこで、次のような構想を設定したのです。

1.遊具の種類は次の6種類とする。
 ・ジェットコースター
 ・観覧車
 ・メリーゴーランド
 ・バイキング
 ・機関車
 ・フリーホール
 これらを同時に動かすのです。

2.駆動源は、おもちゃ用の小さなモーター(3V)とする。

3.大きさは、全体で20cm立方に収まる程度とする。(プリンターで作り易いサイズ)

最終完成状態

 くどくど説明する前に、まず完成状態を見て頂きましょうか。

全体の外観

動画も作ってみました。

youtu.be

 如何でしょうか?

少しパステルカラーでペイントして、かわいくしたつもりです。小さなモータでこれだけ動かすことが出来て、私としては感無量、至福の境地なのです。
 いまは、単三乾電池2個使いで動かしていますが、電源アダプターを使えば長時間の運転も可能です。
モータギヤ音が結構うるさいので、耳障りではあります。

 以下に製作に至る経緯や内部構造など紹介したいと思いますが、ご興味があればご一読下さい。

設計開始

 正直、こんなおもちゃ出来るはずがない、と半分あきらめながらのスタートでした。
まず、180mm四方の平面に6つの遊具をどのように配置するか、これによって一つ一つの遊具の大きさを大まかに設定します。
 そして、各遊具を一つ一つ設計(モジュール設計)していきます。一番気を付けた点は、如何に摩擦ロスの少ない機構にするかということでした。少しの摩擦でも、最終的に6つの遊具を同時に動かす時に、大きな負荷になるからです。各モジュールの駆動入力はギヤとして、本体との脱着も簡単なものとしました。全体の動力伝達機構も小スペースであることから、ギヤ構造として進めました。

各遊具の動作

 各遊具の動作は単純なのですが、結構苦心した点もあります。

1.ジェットコースター:高い位置に運び上げるリフト構造でベルトコンベア方式と考えたのですが、ベルトをどうやって作るかという点でした。結局最終的には、TPUフィラメントを使って、タイミングベルトにフックを付けたものを一体成形したような形状で成功しました。

ジェットコースター

2.観覧車:連続単一回転という単純構造なので、これは簡単でした。

観覧車

3.メリーゴーランド:全体の連続単一回転と各お馬さんが上下に動く動作をどのように連動させるかという点です。
方法は色々考えられるのですが、小スペースの中での機構なので結構苦心しました。

メリーゴーランド

4.バイキング:船を前後に振らせる往復機構なので、単純なリンクを使った回転→往復動作としています。

バイキング

5.機関車:これも単純な連続単一回転のみなので容易でした。

機関車

6.フリーホール:ポールの最上段までゆっくり持ち上げ、一気に下に落とす機構なのでカムを使って簡単にできます。問題は、高い位置までどうやって持ち上げるかでした。棒で突き上げるには地面下のスペースが必要だし、滑車を使ってポール上から吊るす方法も作り難そうで動作も不安定になりそうなので、結局は蛇腹構造の押し棒を成形して実現できました。

フリーホール

全体動作の連結

 各遊具はそれぞれ独立したモジュールなので、それらをベース板(地面)に取り付けることでベース板裏側に組み込み動力伝達メカと合体するという構造です。モーター駆動から各モジュール駆動入力への伝達は、全てギヤで行なっています。

本体裏面

 3Dプリンター加工品で全て(ビス、軸、モータ、電池は除く)の部品を作るのですが、ギヤの組み合わせ構造で問題となるのは、ギヤの組み合わせがピッタリと設計通りの位置(0.1㎜単位で)で取り付けることは至難の業です。成形品は樹脂なので、金属のような剛性もなく、成形歪みやたわみでギヤの噛み合わせが最適とはなりません。
 余談ですが、当初の設計で各モジュールの取り付けベースと動力伝達メカのベースを分けて進めていたのですが、これが大失敗で、ギヤが各モジュール全てとうまく噛み合わないという現象に悩まされ、結局は一つのベースに全てを組み込む構造でやっと成功したのです。出来てしまえば、当然のことでした。


 モーターには、減速機のついた次のモーターを使用しました。

使用モーター

 ギヤ組み合わせの設計上必要になってくるのは、加減速比、回転方向、方向転換です。これらを組み合わせて狭い場所に摩擦ロスを少なく組み込むことは、非常に困難な作業でもう頭の中はパニック状態での設計でした。

 でも、3Dプリンターを使っての部品作りの利点は、何度でも試行錯誤を繰り返して気軽に加工できることです。
 その分、ゴミも大量に出来るのですがねぇ。

ゴミの山

 やっと最終のギヤ構造が収まった状態は、意外とスッキリとしたもので、何で苦労してたのかと能力の無さを実感します。

まとめ

 無理を承知で取り掛かった今回のテーマですが、ほぼ目標の動作を実現できたことには大変満足しています。
少しは可愛く彩りして、子供たちにも喜んでもらえるかなと、その日を待っています。