まず、最終完成状態をお見せします。
3DプリンターEnder-3を使った評価テストやアップグレード、独自改造、製作品の紹介などの記事を載せています。
3月22日、WBC制覇!! いまだに興奮冷めやらぬ感動が蘇ってきます。観客が、日本中が総立ちになって狂喜乱舞していました。
そんな時に思い立ったのが、この感動的なシーンを作品にできないかなぁ、と。
観客が総立ちになって歓喜する様子、そうだ!「ウェーブ」だ!
これを表現できるからくり玩具が出来たら絶対面白いんじゃないか!
具体的なイメージの設定
テーマを決めたものの、どうやって形にしていくか・・。
「ウェーブ」と言えば、観客が波打つように立ったり座ったりする動きなので、複数人でしかも波の動きを表そうとすると最低で3人、観客のような厚みを出すには、3段ぐらいは必要。つまり、3×3人の9人体制で「ウェーブ」を作ろうと考えたのです。
動力は手回しの回転動作で、9人それぞれが独立して立ったり座ったり、立った時に万歳する動きとします。
いよいよ設計開始
今回の設計では、まず一人の動作が完成すれば9人分作成して、全体を動かす台座に乗せるという構想なので、割とスムーズに設計は捗りました。しかし、台座を極力小さくして、9人が密集する方がいいだろうと、ギリギリの配置にしてしまい、後になって組み合わせた時にあちこちで接触が発生してしまいました。
一人分の動作ですが、連続回転動作から身体の上下動と腕の振り上げを行う機構とするのでクランク機構と並行リンクを組み合わせて作るという構想は容易でした。
問題は、目立たず違和感なしに配置する方法なんですが、これも椅子の背もたれ部分に組み込むことで違和感なく動かせそうです。
台座設計では、できるだけ構造を簡素にして、狭いところで9人を同時に動かし、かつ一体一体の姿勢調整が行えるようにギヤの組み合わせを変更できるようにしています。
製作開始
といっても殆どが3Dプリンターでの印刷です。それ以外の部材は、6mmアルミ角棒、ビス類、真鍮釘、ベアリング、市販ばねといったところです。
まず、台座部分を作りますが、これは割と容易でした。
手回しハンドルとそれに直結する軸に3つのギヤがあり、もう一つ離れた軸にも3つのギヤがあります。 各軸はばねで押していますが、多少右に動かすことができます。
次に1体分のセットを作っていきます。これも割とすんなり予定通りの動きとなりました。台座に乗せても、ちゃんと動きます。
ただ、これが2体、3体と連結していくとあちこちで接触が発生してしまい、幾度となく人の形状を作り直しました。
動作の仕組みとしては、真ん中の人のギヤが台座の前後の2軸を連結して動かし、一番手前の人も下側軸のギヤに乗って動くようにしています。
この3体がスムーズに動くようになれば、後の6人分を一気に作ります。
15cm四方のスペースに150個もの印刷パーツを取り付けているので、それだけでも大変なのですが、作り直しも多数あり、何度も挫折し掛けましたが、何とか形になりました。
最終仕上げ
とりあえず9人の動作が行えるようになりましたが、上の写真のように無機質な表情では面白くないので、顔を貼り付けることにしました。絵心のない私には人の顔を描くことも出来ず、ネットのフリー素材(イラストACさん)より顔のイラストを頂き貼り付けてみました。ユニホームも「JAPAN」にして、あの時の感動が少しでも蘇ればと気持ちを込めてみました。顔だけ平面なのに加え、全体のチープ感満載の仕上がりとなってしまいましたが、雰囲気が伝わればと願っています。
そして出来上がったのが、最終の「ウェーブ」動作なのです。
動画作成に慣れてなくて、効果音もなく静かなウェーブですが、雰囲気出てますでしょうか?
また、コメントでご意見など頂けると嬉しいです。
製作を終えて
今回のテーマを玩具にしようと思い付いたこと自体、かなりの冒険だなと自分でも思っていました。
でも、こんな玩具見たことないし、うまく動けばまた新しい玩具の世界が広がるのではないかなという妄想に駆られて、取り組んでみました。
そして何よりも、自由奔放な思いつきを形にしてくれる3Dプリンターの存在に改めて感謝しつつ、次なる構想に思いを馳せています。