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【Ender-3】新作「シャボン玉発生器」の紹介(続編)構造説明

 前記事で紹介しました「シャボン玉発生器」について、いくつかの新機構を採用しましたのでその意図やメカ構造について説明します。「シャボン玉発生器」の概要については、是非前記事も観て頂ければ幸いです。

3つの新機構

 主なところでは、
ターボファン(遠心ファン)形状の採用
 シロッコファンと表現したこともありましたが、表現を変更します。
・ゼネバ機構の採用
遊星ギヤの採用
になります。

ターボファン(遠心ファン)方式の採用

 これまでに製作してきた「シャボン玉発生器」は、扇風機などでおなじみのプロペラファン方式での風を送り込むシステムでした。大風量で豪快に飛ばそうというもくろみで使っていたのですが、気流の乱れが原因なのか、綺麗な形での大量放出とはならず、シャボン玉が重なったり、装置の下にくっ付いたままになったりと、課題を残していました。
 ストローにシャボン玉液を付けて、口で吹くだけでも小さいが綺麗な形のシャボン玉がいくつも出来るのに、どうしたらいいものか・・・と考えているときにターボファン方式に替えてみることを思い付いたのです。

プロペラファン方式とターボファン方式の違いをまとめてみました。

プロペラファンの場合

ターボファンの場合

豪快さは控え目で、綺麗な形のシャボン玉が連続で放出できることを目指しました。
ターボファン方式の仕組みを下図で簡単に説明します。

ターボファン構造説明

 図のようにターボファンは、必然的に外側ケースが必要ですので、プロペラファンの時のような保護カバーがいりません。結果的にコンパクト化することが出来ました。

ゼネバ機構の採用

 ゼネバ機構って、初耳の方も多いかもしれませんので、分かり易く説明します。
 一言でいえば、連続回転を間欠回転に変換する機械構造の一つで、動画内での動きを見て頂ければ、解り易いと思います。
 まず、何のためにこんな機構を採用したかというと、シャボン玉液を含んだ輪っかを送風口に出来るだけ素早く移動させて、出来るだけ長く送風が当たるように一時停止させる動作を実現させたかったからです。
 当発生器では、手回し1回転毎に液のついた円盤が1/4回転します。
液をたっぷり含んだ円盤の穴が、素早く送風口に移動し、停止するので効率よくシャボン玉が連続で発生するようにしています。

ゼネバ機構説明図

 この図でも分かり難いと思いますので、是非動画内での動作シミュレーションを見て頂ければと思います。

遊星ギヤの採用

 遊星ギヤって、これも初耳の方も多いかもしれません。詳しい説明は他のネット情報で調べて頂く方が遥かに分かり易いかもしれませんので、ここでは概要と当シャボン玉発生器への応用について説明します。
遊星ギヤの基本的動作もシミュレーション動画にしてみましたので、下記リンクよりご覧ください。

 まず、何でこんなややこしいギヤを採用したかというと、ファンを高速で回転させるためで、これまで使っていた通常ギヤの組み合わせで高速化しようとすると、どうしてもギヤボックスが大きくなってしまったので、コンパクトにしたかったのです。
 普通は、遊星ギヤ減速機として自動車や産業機器に使われていますが、こんな「シャボン玉発生器」のようなものに使うのは稀だと思います。また、減速機としてではなく、逆使いで高速回転に変換するので、摩擦ロスが大きくなって、手回し駆動に負担が掛かるようでは使えません。更に、駆動軸と出力軸の回転比が4倍程度(当発生器)であり、ファンを高速に回すには2段使いの4×4倍の16倍ぐらいにする必要があります。この場合、摩擦ロスの影響も16倍になるので、設計としては如何にこのロスを減らせるかが大きなカギになります。
 試行錯誤の末、何とか16倍に高速化したのが当発生器です。内歯車自体を外側ケースにできるので、非常にコンパクトなギヤボックスに出来ました。

遊星ギヤ説明図

 当発生器では、上図のメカが2段構えになっています。

 遊星ギヤは、数も多い(8個)ため、「ガラガラ」音対策として、材質をTPUフィラメント(95A)で作成しています。効果てき面で、「ゴー」という低音になりました。ゴムをギヤにするなんて無謀なんですが、低負荷なら使えることが分かりました。

動画での説明

 上記動作説明内容を書面だけで表現するのは、分かり辛いのでシミュレーション動画にしました。
こちらも是非ご覧下さい。

youtu.be

まとめ

 たかがシャボン玉、されどシャボン玉ですね。大き目の綺麗なシャボン玉を連続で飛ばそうとすると、結構難しいものです。手回し駆動に拘り、コンパクト化も目指し、色々な機構を組み込み、3Dプリンターで形作りしていくという自分で決めた目標のために取り組むことは、本当に楽しいものです。結果も自己満足すればよいということで、当発生器については、ほぼ目標達成できたかなと思っています。
 まだまだ、デザイン的にも剛性的にも改造の余地がたくさんありますが、取り組みは一旦お休みにします。
 
 次なる挑戦探しも進めています。また、興味を持って頂ければ幸いです。