3DプリンターEnder-3を使って、評価テストやアップグレード、独自改造を行っています。
現在はフィラメント材料として、ABSとPETGのみを使っています。3Dプリンター(Ender-3)を使い続ける中で、これまでにも様々なトラブルに遭遇しましたが、それなりに原因も分かり対処できていました。
ところが最近、新たな印刷トラブルが発生するようになり、これがまた不可解な現象で悩まされました。この内容について紹介します。
どのようなトラブル内容か?
印刷を開始して、数ミリぐらいの高さでエクストルーダ部(ダイレクト式)から「コンコン」と音がするようになり、ノズルからの吐出が止まり、空積層動作がしばらく続き、途中で再び正常動作に戻りノズルからの吐出、積層を再開するが、印刷物に隙間が出来たり、積層が出来なくなり、グチャグチャになることもある、というものです。
この現象には次のような特徴があります。
- ABSフィラメントでは発生せず、PETGフィラメントで発生する。
- 不具合が発生する時、必ず「コンコン」と音がする。
- 必ず発生するわけではなく、30~50%の確率で発生する。
- PETGフィラメント3種類で発生したが、1つは購入封切り直後でも発生。
- エクストルーダ部のギヤ付近にフィラメントの削りカスも全くない。
- エクストルーダ部にビスゆるみ、摩耗、引っ掛かり等の不具合もない。
正常に印刷できたものが、次の写真です。
そして、不具合発生時の写真が次の例です。(赤矢印の所に隙間あり)
原因追求と対処
この不可解な現象を解明すべく、発生し易い印刷物を繰り返し印刷し、現象発生時の状況を観察し続けました。
そして分かってきたことは、
- インフィルやサポート造形のある層で発生する。
- 引き戻し動作が頻繁に行われる時に発生し易い。(引き戻しの設定値は、1.0mm)
ということで、引き戻し設定を「無効」として印刷しました。
この設定により、不具合の発生が無くなり印刷自体は安定した動作になりました。
ただ、引き戻しがないため、余計な吐出物が印刷物の外側に多く付着するようになり、印刷後にそれを除去する手間が増え、仕上がりも綺麗になりません。
要は引き戻し動作が頻繁にならなければよいと思うので、今はCuraの設定で「レイヤー変更時に引き戻す」を「有効」としています。
他でも引き戻し動作を抑える設定もありますが、とりあえずこの設定で続けています。
考察
とりあえずは使えていますが、本来の状態ではありません。
引き戻し設定は、ダイレクトエクストルーダなので1.0mmにしていますが、まだ多いんでしょうかねぇ? ホットエンド部に押し込み、引き戻しを頻繁に行うことで、エアー噛みが発生し「コンコン」と弾ける音がするのかなぁ、と考えています。インフィルやサポートのパターンを変えることなどで、引き戻し頻度を減らすこともできるんですが、あまり気にしたくないところです。今後も追及を続けていきます。
【2022/6/5追記】
その後のテストで、引き戻し設定は「有効」、引き戻しの設定値を「0.5mm」として順調に印刷できています。私のダイレクトエクストルーダ特有かもわかりませんが、ご参考まで。