前回記事では、ダイレクトエクストルーダ化について記載しました。
この改造を行うと、影響してくるのがフィラメントのセット位置が変わったことによるフィラメント導入方法です。
今回、かなりの自信作が出来ましたので紹介します。
どんなフィラメントガイドを作りたいか・・
私の場合、次の要件を満たすフィラメントガイド作りを目指しました。
- フィラメントスプールは、装置の外側(左側)に置きたい。
- エンクロージャー(保温BOX)対応で、しかも印刷中でも脱着が容易なもの。
- フィラメント交換作業が容易である。
- フィラメントの引き込みがスムーズで抵抗が極力少ない。
試行錯誤の製作開始
フィラメントガイドって、構想前に他の方がどんな方法でフィラメントを引き込んでいるのかと情報集めを試みましたがほとんど情報がなく、試行錯誤の構想開始となりました。
まず、イメージしたのがPTFEチューブの利用でした。ボーデン式で使っているもので予備もたくさん余っていました。これを装置外側下部から通して、装置の上でエクストルーダに向けたガイドを作れば簡単だろう、と安易に考えていました。
そして試作したのが、チューブを保持するパーツをいくつか作って試してみました。
その結果、以外なことにフィラメントを引き込む力が半端なく強い力で引き込まないとフィラメントを引き出せないという現実に唖然としました。
ボーデン式で難なく押し出せてるのだから、引く方がもっと軽く引き込めると思っていましたから・・。
気を取り直して、要所要所(強制的に方向を曲げたいところ)のみPTFEチューブを使う方法も試してみました。
しかし、結果は抵抗削減に大きな効果がなく、エクストルーダモーターにも負担大と判断しました。
「押し込むのは軽く、引き込むのは抵抗が大きい」・・・なぜ??
この理由を私なりに考察してみました。恐らく・・、
- フィラメントには、スプールに巻かれたカールのクセが残っており、そのままPTFEチューブに入る。
- PTFEチューブの曲がり具合いとフィラメントのカール方向が合えば比較的軽く、反対向きの場合大きな抵抗が生じる。
- 押し込む場合は、フィラメントの先端が割とフリーになり、PTFEチューブの曲がり具合になじむ。
- 引き込む場合は、先端を固定した状態で引き抜こうとするため、フィラメントの向きがなじめず、無理にチューブ内を通ろうとするため、抵抗が大きい。
という自論で納得しました。
結局、PTFEチューブを通すという方法はあきらめ、次に思い付いたのが抵抗の少ない滑車方式でした。小さな滑車では曲率が大きい(半径が小さい)ため、フィラメントに無理な曲げが生じることから、Φ100程度の滑車を試作して装置上部にぶら下げて印刷してみました。
確かに、フィラメントをスムーズに引き出せることが出来たのですが、見栄えも悪いし、高さのある造形に制約が出そうだし、もうひとつ・・・。
それではと、小さなローラーを複数並べて曲率を低く抑える方法はどうかと、いくつか試作してみました。そして・・・、
遂に完成!自信作
度重なる試作を経て、やっと納得いくフィラメントガイドが出来ました!
それがこちら、
出来てから気が付いたのですが、「これは、まさしくUFOじゃん!」しかも、印刷中は装置の上でユラユラと揺れて、まるでUFOが印刷を操っているかのよう!
各ローラーの軸には金属製のスペーサを入れているので、軽快にフィラメントが通り抜けていきます。
固定側のガイドにも同方式のローラーでフィラメントを抵抗なく送り出せています。
PTFEチューブも一部使っていますが、短い直線部なのでほとんど支障が出ていません。
フィラメント交換作業も前面なので容易ですし、印刷中のフィラメントと可動部の干渉もほとんどなく、非常にうまくできたと納得しています。
次はエンクロージャー(保温BOX)構想へ
何とか最初の必要要件を満たしたフィラメントガイドが出来たので、次はエンクロージャーを考えています。
以前にも製作して今も使っていますが、見栄えも、サイズも、使い勝手も今一なので再度チャレンジしてみようと思っています。
フィラメントは左下手前の固定位置から導入できるようにしたので、着脱容易なエンクロージャーも見えてきました。
あと、取り外したときに邪魔なので、収納も考慮したいなぁと考えています。