3DプリンターEnder-3を使って、評価テストやアップグレード、独自改造を行っています。
今回の製作品は、エンクロージャー(保温BOX)です。
以前にも同様のエンクロージャーを製作していて過去記事に記載しています。
これを今まで使い続けていたのですが、見た目不細工で保温性も悪いため、思い切って作り直すことにしました。
どのようなエンクロージャーにするか
以前に作ったエンクロージャーでは、とにかく安く作ることを目標に作っていましたが、やはりチープな見た目で、改造Ender-3が可哀想・・。昇温効果は10℃程度で造形物を安定にするほどの効果もありません。フィラメント入替時の作業性も悪く、大きな形状なので取り外した時も邪魔になります。
こんな思いから今回製作するエンクロージャーでは、次の要件を目標にしました。
- 見た目、かっこいいこと
- 価格は出来るだけ抑えること
- 軽量であること
- 作業性が良いこと
- 保温・昇温性が向上すること
- 保温運転中も内部が良く見えること
- 脱着が容易で取り外した時に収納性が良いこと
設計・製作
今回のエンクロージャーでは、折り畳み式ボックスとして収納性向上を特に目指しました。
壁材、底板には低価格の養生パネルを使用して保温性向上を計り、前面は1mm厚の透明アクリル板を使用します。
骨材には園芸用の支柱(約Φ6.6mm丸棒)を使い、その他全体の構造物はEnder-3で印刷します。
結局、印刷したパーツは46個にもなり、設計ミスなどの作り替えも含め、PETGフィラメント1.5kg以上を消費しました。
組み立てには接着剤としてボンド(Gクリア)やグルーガンを使い、何とか形に仕上げました。
<製作材料費>
・養生パネル:コーナンのプラダン・ホワイト(900×600mm)3枚 ---約900円
・パネル縁 :樹脂製 t4厚用 1m長 4本 ---約300円
・園芸用支柱:ダイソーの約Φ6.6mm丸棒(在庫も使用) ---220円
・アクリル板:430×550mm t1.0透明(在庫使用) ---0円
・フィラメント:PETG 約1.6kg使用 ---約3,000円
合計:約4,500円掛かかってしまいました。
やっと完成
とにかく印刷パーツが大量にあり、相当の時間を要しました。
正面からはこんな感じです。
印刷準備、終了時には前面パネルを上に跳ね上げると容易に作業できます。
エンクロージャー不要の時は、全体を「ガバッ」と取り外します。
収納時の折り畳みサイズでは、展開時の奥行き600mmを折り畳んで155mmまで縮めることが出来ました。100mm以下ぐらいにしたかったのですが、素人設計ではかなり難しいですね。
総重量は2.7kgと満足のいく軽さです。フィラメントの導入口を下部手前に取付けていたので、エンクロージャの脱着は印刷中の有無に関わらず、非常に容易です。
全体を白色にしていますので、装置内に取付けたLEDライトで内部も明るく見易くなりました。
昇温性能の確認
追加ヒーターを使わずに、ベッドヒーターのみでエンクロージャ-内部温度がどの程度昇温させることができるのか、確認してみました。
方法は以前に行った確認テスト方法(冒頭の過去記事内)と同様ですが、今回はベッド温度設定を80℃にしています。(前回は100℃)
温度測定はヘッド位置をX=100,Y=100,Z=100のほぼ中央にセットし、温度はノズル温度値で確認します。
ベッド過熱をONとし、そこからの経過時間でのノズル温度値を記録します。
結果、次のようになりました。
エンクロージャーがない場合は+4℃程度ですが、取付けることで+16℃となり、+12℃の昇温効果がある結果となりました。
この結果は、図らずも以前のエンクロージャーの時と同じとなりました。ただベッド設定温度を以前の100℃から80℃に下げていますので、保温効果としては実質向上していると判断できます。
製作後の所感
昇温効果として向上したとは言え、反りの強い造形物を安定的に出力するには物足らない昇温性能です。それにはやはり、別熱源による強制加温が必要と思います。
また、新たな次の課題とします。
現在制作している殆どの部品は背の低い形状に留めていますので、当面はこのままで進めていこうと思います。
今回の製作品については、とにかく大量のパーツを印刷したので、正直疲れました。何とか実用レベルになったから良かったものの、大きな設計ミスが発覚したらと思うと完成までハラハラドキドキの連続でした。
今は、この明るくなったエンクロージャーの中で機嫌良く動くEnder-3を眺め、安堵のひと時を過ごしています。