家庭用3Dプリンターにどれだけの精度を求める?
3Dプリンターで機械系の部品を印刷する場合、一番気になるのが「どれぐらいの精度があるの?」だと思います。実際、私も穴部品に軸部品を通すという場合があり、何度も作った後穴径をやすりでガリガリと削ったりしていました。
25,000円程度で購入した格安3Dプリンターなので高い精度を求めるのは酷ですが、実態を把握することで、設計時に誤差を考慮した寸法設定ができるのではないかと思い、穴と軸の通り具合いを調べてみました。今回は、簡単なサンプルピースを標準印刷設定で作り寸法測定、軸穴の通り具合いを確認しました。
サンプル作り
サンプルは、私が使い易い軸径(Φ10)に絞り、次のような設定の部品(全6種類)にしました。
・穴径:10.0、10.1、10.2
・軸径:10.0、 9.9、 9.8
印刷設定(Curaでの設定)
・材料:PLAフィラメント(白色)
・ノズル径:Φ0.4mm
・プロファイル:Standard Quality(積層ピッチ0.2mm)
以下defultからの変更箇所
・壁の厚さ:1.6mm
・上部底面の厚さ:1.6mm
・印刷温度:210℃
・ビルドプレート温度:70℃
・サポート開始:無し
・ビルドプレート接着タイプ:ブリム
・ブリム幅:4mm
印刷後の状態
寸法測定と軸穴の通り具合い比較
結果から大まかな傾向としては、
・軸径も穴径も設定値に比べ、約0.1mm小さ目になった。
・軸の穴への通り具合いの感触としては、0.2mmの差で設定するのが良好だった。
サンプルを横向きに出力したらどうなるか?
上記と同一のサンプルを横に倒した状態で印刷したら軸と穴の通り具合いはどうなるのか・・。サンプルのような円柱形状を横に倒して印刷するとサポートの影響を受けたり、積層ピッチなども影響が大きいのでは、という印象を持ちます。なので、ほとんどの場合は立てた状態での印刷設定をすると思います。
ただ、パイプのエルボや3方向ジョント部品のように、横向きに穴や軸を印刷する必要もあります。私の場合、Φ10程度の軸径・穴径を想定しているため、とりあえず横向き印刷を行ってみました。
印刷条件は、上記印刷設定に次の変更を加えています。
・サポート開始:あり
・サポート配置:ビルドブレードにタッチ(穴はサポート無し)
出来上がった結果では、
外形寸法は、サポートの影響を受けて歪やバリが発生し評価するに至りませんでした。
ただ、穴径については縦向きで印刷した穴径サンプル部品と遜色ない寸法で、軸径と0.2mmの差で適度の通り具合いとなりました。
よって、Φ10程度の横穴ならば、サポートは不要と判断できます。
まとめ
印刷設定では、軸穴の径をΦ10に設定していること、材質はPLAとし標準の品質で出力するものとしています。自分の用途範囲での簡単なテストとなりましたが、今後もこのプリンターと付き合うための色々なチャレンジを行っていきたいと思います。