GGの挑戦

3Dプリンターライフを楽しんでいます

【3Dプリンター】Fusion360から素早く印刷へ

 3Dプリンター(Ender-3,Neptune4)に関わる記事や、作品の紹介など気まぐれに投稿しています。

 最近はELEGOO社のNeptune4での改良紹介など行っていますが、前回記事のOrcaSlicer紹介で「プリンターへの直接データ送信機能もあるよ(まだ未確認)」と紹介していました。その後、プリンターへの接続も成功し、OrcaSlicerからの直接印刷が非常に便利で、今では常用のプリントルーチン作業になってきました。

 そんな中で、未だに非効率作業としてモデリングツールのFusion360を使っていますが、印刷するときは一旦STLファイル化して、スライサーソフト(CuraやOrca)に手動で渡すという操作を繰り返していました。

 ちょっと待てよ、これってもっと一連の作業効率が良くなるんちゃう?

ってことで、今回紹介するのはデザインから印刷までの流れを素早く簡単に行う方法を紹介しようと思います。

印刷までの環境の条件

 あくまで私が作業している環境での流れなのですが、マッチしない方も参考になれば幸いです。

モデリングソフト: Fusion360
 自作品を製作される方の多くが使用されていると思います。

(他のツールでも、スライサーソフトに直接データを渡せる機能があれば可能かも?)

・スライサーソフト: OrcaSlicer
 3Dプリンターへ直接データ送信できましたので、これを元に紹介しています。

3Dプリンター: スライサーソフトに対応し、通信機能があるもの
 私の場合はNeptune4を使っており、最近OrcaSlicerを使い始めました。

これまでの作業流れ

 2週間程前までは、下図のような流れで自作品の印刷を行っていました。

これまでの作業流れ

私としては、これが一般的と思っていました。渡し用データファイルを都度フォルダーに保存していたため、フォルダー内がごちゃごちゃになり、最終どれを残すべきなのか判別がつかないこともありました。部品点数が少なければ大した手間でもないのですが、100個位になってくるとか、設計し直しで繰り返し何度も試作していると大変です。これを3年間続けていたんです。同じような方がいらっしゃれば是非参考にしてほしいです。

新たな作業の流れ

そして今回紹介する流れは、下図のようになります。

新しい流れ

 つまり、デザイン(Fusion360)をして、直ぐにスライサーソフト(OrcaSlicer)に送り、プリンター(Neptune4)に送って印刷確認する、という流れです。
要するに、STLファイル化したり、GCODE化したりという手間が無くなるわけです。データ保管は最終形状が決まった時など必要に応じで残せばよいわけで、私のように試作ゴミを大量に作る方であれば、こんな便利な流れはありません。

 

【2024/4/11追記】

Curaスライサーでもプリンターに直接gcodeデータを送信できることが分りましたので別途記事にしています。そちらもご参照ください。

 

ggblog.hatenablog.com

【追記終わり】

 

具体的な操作の流れ

 ではまずFusion360でデザインがほぼ出来て、印刷してみようというところから説明します。
 Fusion360「ファイル」から「3Dプリント」を選びます。

「3Dプリント」を選択

「3Dプリント」選択すると次の画面となり、先に出力先のスライサーを設定しておきます。

「3Dプリント」の出力先選択

私の場合は、"C:\Program Files\OrcaSlicer\orca-slicer.exe"を選択して、OrcaSlicerを設定しています。

次に印刷したいパーツを選択します。

3Dプリントパーツの選択

パーツ選択は、上図のような操作で任意に選ぶことをできます。
パーツ選択できれば、「OK」を押すと、スライサーソフト(OrcaSlicer)が起動してパーツがプレート上に乗っかります
 パーツは複数の場合、一塊になっているので分割する必要があります。

パーツ分割

パーツ分割できれば、配置を変えたり印刷条件を変えたりして、印刷してみようということになります。「スライス」して、「プレビュー」でサポートなどの状態を見ていよいよ印刷です。印刷するには、「造形する」「Upload and Print」でデータ送信と印刷開始を行います

スライサーでの処理

印刷先を直接3Dプリンターにするためには、送信先を設定する必要があり、下図のように設定しておきます。「Test」で正常に接続できていることを確認しておきます。

私の場合はNeptune4をLANで繋いでいるので、IPアドレスを設定しています。

プリンター出力先の設定

 データが送信されるとOrcaSlicerの「デバイス」タブに、Fluidd画面が表示されプリンターのモニターや操作を行うことが出来ます

印刷完了

まとめ

如何でしたでしょうか?印刷データを都度ファイル化する手間がなくなると、作業も捗り、残すべきファイルデータもすっきりと管理できます。すでに同じような流れで印刷作業を行われている方も多いとは思いますが、私としては大きな進歩になりました。

 今回もコメントを頂いた方からのご提案を元に記事にまとめてみました。本当にありがとうございました。今後も皆様からのご意見を頂けると大きな励みになります。

【Neptune4】改良(第4弾)~スライサーソフトOrcaSlicerを使ってみる~

 3Dプリンター(Ender-3,Neptune4)に関わる記事や、作品の紹介など気まぐれに投稿しています。

 今回紹介するのは、ELEGOO社のNeptune4用のスライサーソフトOrcaSlicerになります。先々記事ではUltiMaker Cura5.6.0をNeptune4用に紹介していましたが、当記事にコメントを頂いた方からのご紹介でOrcaSlicerが使えるとのことで、早速OrcaSlicerをインストールし試用してみました。

 いくつか再調整を行いましたが、今では綺麗な印刷仕上がりとなり、操作性がいいことやCuraにはない機能などなど是非導入をお奨めしたいと思います。PrusaSlicerがベースとのことで、使い慣れた方であれば全く問題ないのではと思いますし、初めての方もすぐに使い慣れると思います。

 尚、OrcaSlicer(現バージョン:1.9.0)をインストールしただけでは、サムネイルが表示できないというマイナス点があり、これもサムネイルを表示できる方法がありましたので紹介いたします。まだELEGOO社からの公開情報ではなく、Net検索で見つけたものなので、自己責任にて導入をお願いします。

OrcaSlicer1.9.0(注1)のインストール

 これはELEGOO社のホームページより、インストーラをダウンロードして組み込むだけですので、割と容易に導入できます。インストールするまでの流れを簡単に紹介しますので、ご興味のある方は是非導入してみてください。

(注1)2月18日:OrcaSlicer1.9.1にVerUpされています。オンライン送信時のセキュリティー強化されているようです。以下の1.9.0インストール後でもVerUp可能です。

まず、ELEGOO社のホームページを開き、サポート(Support)画面に移ります。
ここから、ダウンロードセンター(Download Center)をクリックします。

ELEGOO support画面

Download Centerでは、冒頭にSlicerソフトの案内があり、ELEGOOの機種を選択します。私の場合は、Neptune4を選択します。

機種選択

機種を選定すると、OrcaSlicerの下に使用OSの選択があり、私の場合はWindowsを選びました。

OrcaSlicerのOS選択

ダウンロードするファイル(rar形式)の保存を行います。

OrcaSlicerのダウンロード

ダウンロード後、このOrcaSlicer_Windows_Installer_1.9.0.rarファイルを右クリックのメニューから展開します。

展開されたインストールファイル

生成されたOrcaSlicer_Windows_Installer_1.9.0.exeファイルをクリックすることで、インストールが始まります。

 以下、インストール完了までの詳細説明やインストール後のプリンター設定や操作方法などは、他のサイトや各自で習得頂いて、当ブログでの説明は省略させて頂きます。というのも、私自身がまだOrcaSlicer初心者なので、個人的に関心のあるところのみをピックアップして紹介したいと思います。


OrcaSlicer1.9.0インストール直後の印刷

 これまではUltiMaker Cura5.6.0でスライスして特に問題もなく印刷していた状態からの変更でした。
 まだ、OrcaSlicer内部を全く調整も出来ていない状態でスライスして印刷してみたのですが、PLAでも1層目が全く乗らずに剥がれてしまうということで、慌ててZ-Offsetの再調整をやり直して、結構狭めの設定で何とかベッド面への定着が安定しました。また、ブリムの状態から何となくフィラメントの流量が少なく感じたので、流量比もデフォルトの0.98から1.0に変えてみました。(この効果は正直分かりません)

 そして成功した印刷物を見た第一印象は、「表面がきれい!」でした。フィギュアのようなパーツで肌のすべすべ感といい、サポートの剥離具合いに驚きました。サポート面も比較的綺麗だと思います。

印刷パーツ

写真のサポート面は結構荒く強調されていますが、肉眼ではあまり目立っていません。

 プリンターの動作状態としては、Curaでは感じなかったリトラクション(フィラメント引き戻し動作)なのかZ-HOP(Z軸の回避動作)なのか「キュン、キュン」というモータの音が発生していました。
また、印刷物を冷やすファンの音が大きくなったり小さくなったりと「ビュンビュン」せわしなく動いています。

また、印刷時間に関しては、Curaで使っていた時よりは長めになりましたが、綺麗に印刷できるのであればいいかなと、仕上がり重視で見ています。

 余談ですが、印刷開始時の温度やヘッドの動きがCura5.6.0 Neptune4対応テスト版と同じ動きだったので、思わず笑ってしまいました。同じ人が作ったのかな?今後の標準になっていくのかな?などなど憶測してしまいます。

再調整したこと

 ファンの音はさすがにうるさくなるので、最大でも30%程度になるように設定しました。その後はファンの音も気になりません。
 
 幾つか印刷して、印刷途中でフィラメント供給が止まってしまうというトラブルが発生してしまいました。
原因は、リトラクションによるフィラメントを挟むギヤの往復動作によるフィラメント削れでした。

フィラメントのくびれ

リトラクション値が8mm0.8mmでしたので、とりあえず5mm0.5mmにして運用しています。「キュン、キュン」音はなくなりました。また、その後の印刷でも今のところ仕上がり状態に問題はなく、しばらく様子を見てみます。

 まだ、PLAのみの印刷のため、PETGやABSでは今後の評価になります。


OrcaSlicer1.9.0を使って、良かった点

 PrusaSlicerを使い慣れた方は、違和感なく使われていると思いますが、私のようにCuraしか使ってなかったという方にとっては、色々違和感を感じますがこれは慣れるしかありません。
ただ、便利な機能が色々あり、操作も慣れてくると非常に使い易いという印象です。
私はまだ触りだけなので、使えてない機能もたくさんあると思いますが、最初に感じたことだけピックアップしてみました。

<便利な機能>
 ・複数の印刷パーツの自動配置:一つずつ細かく動かす必要もなく、超便利です。
 ・複数のプレートを用意できる:まだ多用していませんが、慣れると便利そう。
 ・プレート設置面の設定:どの面を底にするのか、簡単に指定できる。
 ・サポートのカスタマイズ性:自動設定以外にサポートの有無を容易に細かく指定出来、不安定なパーツ印刷にも超便利。
 ・プリンターへの直接データ送信:(便利そうだが、まだできておらず未確認)

サムネイル表示するために

 初見で残念な点が、サムネイル表示出来ないことです。ファイル名だけで、印刷物を管理するのは結構間違いやすく、今ではサムネイル表示は必須です。
 何とか実現する方法を探していたのですが、やっと下記のサイトにたどり着き、うまく動作しましたので紹介します。

下記GitHubfifonikさんの公開情報が非常に分かり易いと思います。

github.com

組み込み作業を順追って説明していきます。(当サイトの内容そのものですが・・)

 概要としては、OrcaSicerソフト(現バージョン:1.9.0)内に、出力するGcodeファイルにサムネイル表示機能を付加するスクリプトを追加するというものです。

① まず、上記リンクをクリックしてサイトを開きます。

サイトを開いたところ

 説明文も見ながら(日本語翻訳で見たら分かり易いです)下へスクロールするとインストール情報があります。

ダウンロードするファイルへ

 ダウンロードするファイル(thumbnail.zip)が表示されますので、これをダウンロードします。

ファイルをダウンロード

 このthumbnail.zipファイルを展開します。

展開後のファイル

 このthumbnail.exeファイルを任意の場所に移します。
私の場合はとりあえず、ドキュメント内の\ELEGOO3DPrinter\OrcaSlicerフォルダーを作って移しました。
このファイルを選んだ状態で右クリックしてパスのコピーを選んでコピーしておきます。

ファイルパスコピー

 次にOrcaSlicerを起動して、プリンター設定を行っていきます。

OrcaSlicerへの設定

サムネイルサイズを300×300形式をPNGに変更登録し、「その他」のタグでPost-processing Scriptsの空欄にカーソルを置き、コピーしたリンク先を貼り付けます。

設定後は忘れずに登録してください。

以上、これでサムネイル表示が出来るはずです。通常のスライス操作、Gコードファイルのエクスポートを行って、Fluidd画面へアップロードまたはUSBメモリーへコピー等でプリンターへ送ってみて下さい。

サムネイル表示されますでしょうか?
Fluidd画面の場合、こんな感じで表示されました。

Fluiddでの表示

勿論操作パネルにも表示されますし、印刷時間などの情報も表示されます。

これで、Cura5.6.0で行ったNeptune4対応やサムネイル表示付加の状態と同等になります。

 

Cura5.6.0との印刷比較

ベンチマークを印刷比較してみました。
主な条件としては、フィラメントPLA、積層ピッチ0.25mm、壁面、上下面0.8mm、インフィル0%、印刷速度Cura250mm/s、Orcaデフォルト(内壁250mm/s)、他の細かい設定はデフォルトです。

 写真では、左側がOrcaSlicer右側がCura5.6.0となっています。

比較1

比較2

比較3

比較4

比較5

 仕上がりとしてはもいずれも良好なのですが、印刷時間はCuraが26分ですが、OrcaSlicerでは43分掛りました。

 サポートでの比較やオバーハングでの比較印刷は行っていませんが、感触としてはOrcaSlicerが優れているように感じました。

まとめ

 OrcaSlicer1.9.0、まだ使い始めて1週間足らずでの感想ですが、非常に高機能で使い易く、しかも印刷仕上がりも遜色ないとなれば、使わない手はないと思います。印刷時間がCuraと比べ遅くなってしまいますが、不安定な造形物やサポート面の仕上がりを気にされる場合、是非皆さんも導入して評価して頂ければなあと思っています。

 まだ操作途中で突然落ちたり、バグも残っているようですが、今後のアップデートも見逃せません。

「電動遊園地」のおもちゃを作りました

 FDM方式3Dプリンター(Ender-3,Neptune4)に関する記事を気まぐれに発信しています。
 趣味で主に製作しているのが、からくり玩具(おもちゃ)で、機械機構を色々組み合わせて他では見たことがないような、オリジナル作品作りを楽しんでいます。
 今回は、自分でも納得の作品が出来ましたので紹介したいと思います。

 構想から完成までに、約4か月! 漠然と自分でも夢物語と思いながらも、「よし!作ってみよう!」と決めたのが昨年9月でした。それが「電動遊園地」のおもちゃなんです。
 
全体の構想は

 「電動遊園地」、つまり遊園地全体を動かしてみよう、と考えたのです。既存で市販のおもちゃでは、単独の遊具のものはよくありますが、複数の遊具を同時に動かすような、つまり遊園地全体を動かすようなおもちゃは見たことがありません。そこで、次のような構想を設定したのです。

1.遊具の種類は次の6種類とする。
 ・ジェットコースター
 ・観覧車
 ・メリーゴーランド
 ・バイキング
 ・機関車
 ・フリーホール
 これらを同時に動かすのです。

2.駆動源は、おもちゃ用の小さなモーター(3V)とする。

3.大きさは、全体で20cm立方に収まる程度とする。(プリンターで作り易いサイズ)

最終完成状態

 くどくど説明する前に、まず完成状態を見て頂きましょうか。

全体の外観

動画も作ってみました。

youtu.be

 如何でしょうか?

少しパステルカラーでペイントして、かわいくしたつもりです。小さなモータでこれだけ動かすことが出来て、私としては感無量、至福の境地なのです。
 いまは、単三乾電池2個使いで動かしていますが、電源アダプターを使えば長時間の運転も可能です。
モータギヤ音が結構うるさいので、耳障りではあります。

 以下に製作に至る経緯や内部構造など紹介したいと思いますが、ご興味があればご一読下さい。

設計開始

 正直、こんなおもちゃ出来るはずがない、と半分あきらめながらのスタートでした。
まず、180mm四方の平面に6つの遊具をどのように配置するか、これによって一つ一つの遊具の大きさを大まかに設定します。
 そして、各遊具を一つ一つ設計(モジュール設計)していきます。一番気を付けた点は、如何に摩擦ロスの少ない機構にするかということでした。少しの摩擦でも、最終的に6つの遊具を同時に動かす時に、大きな負荷になるからです。各モジュールの駆動入力はギヤとして、本体との脱着も簡単なものとしました。全体の動力伝達機構も小スペースであることから、ギヤ構造として進めました。

各遊具の動作

 各遊具の動作は単純なのですが、結構苦心した点もあります。

1.ジェットコースター:高い位置に運び上げるリフト構造でベルトコンベア方式と考えたのですが、ベルトをどうやって作るかという点でした。結局最終的には、TPUフィラメントを使って、タイミングベルトにフックを付けたものを一体成形したような形状で成功しました。

ジェットコースター

2.観覧車:連続単一回転という単純構造なので、これは簡単でした。

観覧車

3.メリーゴーランド:全体の連続単一回転と各お馬さんが上下に動く動作をどのように連動させるかという点です。
方法は色々考えられるのですが、小スペースの中での機構なので結構苦心しました。

メリーゴーランド

4.バイキング:船を前後に振らせる往復機構なので、単純なリンクを使った回転→往復動作としています。

バイキング

5.機関車:これも単純な連続単一回転のみなので容易でした。

機関車

6.フリーホール:ポールの最上段までゆっくり持ち上げ、一気に下に落とす機構なのでカムを使って簡単にできます。問題は、高い位置までどうやって持ち上げるかでした。棒で突き上げるには地面下のスペースが必要だし、滑車を使ってポール上から吊るす方法も作り難そうで動作も不安定になりそうなので、結局は蛇腹構造の押し棒を成形して実現できました。

フリーホール

全体動作の連結

 各遊具はそれぞれ独立したモジュールなので、それらをベース板(地面)に取り付けることでベース板裏側に組み込み動力伝達メカと合体するという構造です。モーター駆動から各モジュール駆動入力への伝達は、全てギヤで行なっています。

本体裏面

 3Dプリンター加工品で全て(ビス、軸、モータ、電池は除く)の部品を作るのですが、ギヤの組み合わせ構造で問題となるのは、ギヤの組み合わせがピッタリと設計通りの位置(0.1㎜単位で)で取り付けることは至難の業です。成形品は樹脂なので、金属のような剛性もなく、成形歪みやたわみでギヤの噛み合わせが最適とはなりません。
 余談ですが、当初の設計で各モジュールの取り付けベースと動力伝達メカのベースを分けて進めていたのですが、これが大失敗で、ギヤが各モジュール全てとうまく噛み合わないという現象に悩まされ、結局は一つのベースに全てを組み込む構造でやっと成功したのです。出来てしまえば、当然のことでした。


 モーターには、減速機のついた次のモーターを使用しました。

使用モーター

 ギヤ組み合わせの設計上必要になってくるのは、加減速比、回転方向、方向転換です。これらを組み合わせて狭い場所に摩擦ロスを少なく組み込むことは、非常に困難な作業でもう頭の中はパニック状態での設計でした。

 でも、3Dプリンターを使っての部品作りの利点は、何度でも試行錯誤を繰り返して気軽に加工できることです。
 その分、ゴミも大量に出来るのですがねぇ。

ゴミの山

 やっと最終のギヤ構造が収まった状態は、意外とスッキリとしたもので、何で苦労してたのかと能力の無さを実感します。

まとめ

 無理を承知で取り掛かった今回のテーマですが、ほぼ目標の動作を実現できたことには大変満足しています。
少しは可愛く彩りして、子供たちにも喜んでもらえるかなと、その日を待っています。

【Neptune4】改良(第3弾)~Cura5.6.0を使ってみる~

 2024年、本年も3Dプリンター(Ender-3,Neptune4)に関わる記事や、作品の紹介など気まぐれに投稿していきます。
最近は、ELEGOO社のNeptune4の改造・改良を行っており、今回も継続して紹介したいと思います。

 Neptune4は、昨年6月頃に販売開始された新機種で、低価格でありながらハイスペック、豊富な機能に魅了され即買いして、今ではほとんどの製作品をこのNeptune4で印刷しています。
 
 当ブログでも何度か使用感など記載してきましたが、不満な点として挙げた中に、スライサーソフトがELEGOO Curaの専用付属ソフトのみということがありました。

 恐らく多くのNeptune4ユーザーの方も、他の汎用スライサーソフトも使いたいと思っているのではないでしょうか? 私もUltiMaker Cura5.6.0を使っていますが、未だにNeptune4がサポートされておらず、正式サポートされる日を心待ちにしていました。

 そんなことで、今回のテーマは「Cura5.6.0を使ってみる」として、スライサーソフトで最新版のUltiMaker Cura5.6.0を使うことに挑戦してみました。

 きっかけは、当ブログにコメントを頂いた方からの情報で、テスト版のプロファイルが既に公開されているとのことで、入手方法等もご教授頂き、具体的な形で分かり易く紹介できないかなぁと思った次第です。ご教授頂き本当にありがとうございました。

 尚、以下で説明する方法につきましては、最新版のCura5.6.0にNeputne4シリーズのプロファイル(テスト版)を手動操作で追加しますので、自己責任で行ってください。不安な方は、UltiMaker からの正式リリースを待ってください。(テスト版も公開されていることから、正式リリースも近いのではと推測しています。)
何分、テスト版のため、動作不具合や不足機能などあるかも分かりません。
因みに私はまだ初心者レベルですが、比較的簡単に導入することが出来、今のところ正常に運用できております。


操作の大まかな流れ(1/26内容修正済み)

 前提として、既に最新版のUltiMaker Cura5.6.0(2024年1月4日現在)がインストールされているものとします。操作の主な流れは、

となり、順に説明していきます。

1.Neputne4シリーズのプロファイル(テスト版)データを入手する

 まず、UltiMaker Curaの公式サイトに入ります。

矢印のFind previous versions > をクリックします。

UltiMaker Cura公式ホームページ

GitHub内のCura格納場所に移りますので、画面左上にあるPull requestsをクリックします。

PullRequest選択

 下の方にスクロールし、Elegoo Neptune 4 / Pro / Plus / Max Definition Updates を見つけて、クリックします。

Elegoo Neptune 4 Pro Plus Max Definition Updatesを選択

Neptune 4シリーズのアップデート情報が記載された画面で、release pageをクリックします。

release pageを選択

ここに目的のプロファイルがzipファイル形式でありますので、PC内の任意の場所にダウンロードします

EN4-profile-export_2_1_zipを選択

2.Cura5.6.0のコンフィグレーションフォルダーに組み込む

 ダウンロードしたEN4-profile-export_2.1.zipを展開します。
展開した後にその展開したフォルダーを開き、別途Cura5.6.0のコンフィグレーションフォルダーを開きます
コンフィグレーションフォルダーの開き方は、Cura画面のヘルプから行います。

Curaのコンフィグレーションのフォルダーを表示するを選択

表示されたコンフィグレーションのフォルダーの同じ名前のフォルダーに以下のフォルダーとファイルをドラッグ&ドロップで移動します。

下図にその内容を示します。

展開したデータをコンフィグレーションフォルダーに移動する操作

移動が終われば、Cura5.6.0を一旦終了し、再起動します

 

3.プリンターを追加する

 新しいプリンターの追加設定をします。

Neputne4シリーズのプリンタが追加

正常に組み込みに成功していれば、Neputne4シリーズが追加されています。私の場合は、Neptune 4を選択して、進めていきます。以上でNeputne4対応のgcordeファイル生成が可能です。

 実際の印刷も可能なはずですが、私の場合、ノズル温度が不可解な動きをしていることが不安となり、先に以下を進めました。(後述していますが、問題なしでした)

4.サムネイル プラグインを組み込む

 上記までの操作でgcordeファイルが生成されるのですが、ELEGOO Curaにあったようなサムネイル表示が出来ません。これもUltiMaker Curaの公式サイトにプラグインが用意されているので、組み込むことにしました。

 

 <組み込み手順>

1.UltiMaker Curaの公式ホームページの下の方にスクロールしていくと、MarketPlaceへの入口(Visit UltiMaker MarketPlace)があり、クリックします。

Market_Place入口

2.ELEGOO_Neptune_Thumbnailsを選択します。

ELEGOO_Neptune_Thumbnailsを選択

3.GitHubの格納場所(Website)を選択します。

格納場所選択

4.GitHubの格納場所の内容が表示されます。  

格納場所に入ったところ

5.下にスクロールし目的のプラグインデータを入手するところに移動しhereをクリックします。

hereを選択

6.プラグインデータファイルをPCにダウンロードします。

PCにダウンロード

7.cura画面のプレート上にドラッグ&ドロップします。

cura画面のプレート上にドラッグ&ドロップ

8.次のようなメッセージが出ますので、Curaを一旦終了し、再起動します。

メッセージ表示

9.プラグインが正常に組み込まれていることを確認し、設定を行います。

プラグインが組み込まれたことの確認

10.サムネイルの設定内容を変更し登録します。

サムネイルの設定

11.実際にどのような変化があるかを確認します。

fluidd画面にサムネイル表示

 fluidd画面にgcordeファイルを入れると、サムネイル表示します。もちろん印刷時は操作パネルにも表示されます。

テスト印刷

 実際にどのような印刷となるのか、ベンチマークお船にて試してみました。
 印刷データは、PLA黒、ピッチ0.25mm、ノズル210℃、ヒートベッド60℃、印刷速度250mm/sでおこないました。

 まず、印刷開始時に驚きました。
 ノズル温度の動きが、まず、140℃(予熱温度)で止まり、ヒートベッドが60℃に達した時点で、ヘッドがHome動作を行い、最初のライン印刷前で止まり、ノズルの加温が始まります。設定の210℃になるとプレートの手前で最初のライン印刷後、本体の印刷を開始します。
 この140℃で止まるという意味がいまいち分かり辛いのですが、印刷開始時の樹脂塊を本体印刷時に持ち込まないような工夫のようですが、詳細はよくわかりません。

いずれにしろテスト版なので、今後どのような形で正式リリースとなるかは、お楽しみということですね。

サンプル印刷後の状態

サンプル写真

 サンプル印刷自体は正常に行われましたが、最新Curaでどれだけ品質改善されたかは不明です。

Cura内のプリンター設定について

 今回は、Neptune4を選択してプリンターを追加したわけですが、そのプリンター設定の内容を見てみると、開始GコードがELEGOO Curaと全く異なっています。
上記の印刷開始時の動きが、この開始Gコードに沿ったものと思います。詳細解説は、私には無理です。


まとめ

 何とかCura5.6.0でNeputne4を使う状態になりました。テスト版ということで、今後新たな問題に遭遇する可能性もありますが、このまま実運用しながら試していきたいと思っています。個人的には、プレビューモデルの見易さや機能面で大変気に入っています。
 使う使わない、いづれにしろ正式リリースが待たれますねぇ。

【Neptune 4】改良(第2弾)~温度制御の安定化~

 3DプリンターELEGOO社のNeputne4を使っていて、概ね満足しているのですが、もう少し何とかならないかなぁ、と思う点もいくつかあります。前々記事でも不満な点など記載しましたが、今回は温度制御について改善方法がありましたので紹介します

尚、この方法はLAN経由のfluidd画面上で行いますので、是非導入を推奨します

現状の温度制御は

 温度制御は、ホットエンド(エクストルーダ)とヒートベッドの2か所の温度を設定値に保つための制御になります。

 操作パネルに表示されるリアルタイムの温度表示値は、整数値のみで設定温度になってる/なってない程度のモニター用に使ってると思います。

操作パネルの温度表示

 ところが、PC上でLAN経由のfluidd画面でこの温度値をモニターすると、リアルタイムの温度表示値が0.1℃単位で逐次表示され、グラフ化されます。この温度グラフが見易くて、それぞれの温度変化がどのように推移しているのかがよく分かります。

 このグラフ推移を眺めていて、もう少し何とかならないかなぁと感じたことはありませんか?

変更前の温度の動き

 装置は、印刷待機の加温状態での温度の推移ですが、エクストルーダの温度はほぼ真直ぐの安定した制御を行っているのに対して、ヒートベッドは結構ガタガタの波形になっています。
温度の振れ幅を観察すると、

・エクストルーダ: 210℃ ±0.2℃程度
・ヒートベッド :  60℃ ±2.5℃程度

変動しています。

 この変動が、果たして印刷品質に影響するのか否かは、全く定かではありません。
ただ、ヒートベッドのグラフを見ていると、この制御何とかならないかなぁ、と思うわけです。

温度制御の改善方法

 色々調べたところ、klipperの温度制御パラメータの変更で改善することが分かり、その方法について説明します。
 尚、以下の操作はKlipperファームウェアを操作しますので自己責任で行ってください。
まず、現状の温度制御パラメータを確認します。

<確認手順>

1.fluiddの画面から、左側にある{...}マーク(Configuration)を選ぶ。

Configuration選択

2.「Printer.cfg」を選ぶ。

printer_cfg選択

3.[extruder]の次の値を見る。
 control :
 pid_kp : 
 pid_ki : 
 pid_kd :

エクストルーダーPID設定値変更前

4.同様に[heater_bed]の次の値を見る。
 control :

ヒートベッドPID設定値変更前

 パラメータの意味を簡単に説明すると、「control :」は制御方式で、エクストルーダではpid制御となっています。
pidの場合、p(比例)、i(積分)、d(微分)の各パラメータが必要になります。
pid制御は非常に一般的で特に温度制御によく用いられます。
ただ、ヒートベッドでは、watermarkという設定になっています。温度変化がガタガタなので、単純なON/OFF制御と解釈しています。

 

<変更方法手順>

1.pid制御のパラメータを変更するといっても、適切な値を求めることは容易ではありません。私のような素人は無理です。そこで、ネット情報を探したところ、下記のサイトにデーターが公開されていましたので、その値を信じて変更してみました。

参考サイト:https://www.igorslab.de/en/elegoo-neptune-4-3d-drucker-im-test/3/

Elegoo Neptune 4 3D Printer in Review - All roads lead to Rome, if you take the right turn. | Page 3 | igor´sLAB

PID設定パラメータ

2. Printer.cfgの内容を次のように書き換えました。

エクストルーダーPID設定値変更後

ヒートベッドPID設定値変更後

エクストルーダは、ほとんど変更する必要がなかったのですが、一応換えてみました。

 

3. Printer.cfg変更後は、画面右上の方にある「保存と再起動」ボタンを押します。警告のような表示が出ますが気にせず、しばらくするとファームウェアが再起動しているので、ホーム画面に戻って改めてエクストルーダとヒートベッドの加温を開始します。

改善後の温度状態

変更後の温度の動き

 ヒートベッドの温度状況が明らかに改善しています。エクストルーダも元々変動が小さかったのですが、更に小さくなった気がします。

・エクストルーダ: 210℃ ±0.1℃程度
・ヒートベッド :  60℃ ±0.1℃以下

 お断りとして、あくまで印刷待機状態での温度状況なので、実際の印刷途中での制御追従性は改めて確認する必要があります。

まとめ

 温度制御について、改善されたと思いますが、実際の印刷における品質向上にどれだけ効果があるかは、全く分かりません。ガタガタ制御より良いだろうという感覚です。
 ただ、メーカーでの出荷時設定として、せっかく良い制御機能があるのに採用しなかったのか疑問を感じてしまいます。

【Neptune 4】印刷品質向上を目指して(第1弾)

 最近は、ELEGOO社のNeputne4でのPLAフィラメントによる印刷を多く行っています。前記事では、Neputne4を約半年間使用しての感想などを記載しました。

 その中で印刷品質について、インフィル密度100%の長尺ものを印刷するときに印刷時に「ゴリゴリ」音がして印刷物のTOP面がぶつぶつの状態になる現象を紹介していました。再現性もあり、Creality社のEnder-3で製作していた時には何の問題も発生しなかったことから、Neputne4特有の問題があるに違いないと・・。
 今回の記事では、この原因究明と対策について紹介したいと思います。

テスト方法の設定

 症状を見て最初に疑ったのは、ヘッド部(エクストルーダー部)が移動時に上下に動く不安定な状態があるのではないか、ということでした。なので、テストピースは図のような幅10×長さ200×高さ5mmの直方体をX軸方向に長く配置して印刷することにしました。

テストピース

印刷終了時の状態

共通の印刷条件(スライサー設定)は下表の通りです。

スライサーでの印刷条件

そして、疑問視していたエクストルーダーのフィラメント引き込み時の摩擦抵抗があるのではと想定して、ノーマルの使用状態と摩擦抵抗をほとんど無くした対策品との比較を行うことにしました。更にフィラメントをガントリー上部から降ろして重さの影響があるのか比較してみました。

摩擦抵抗を無くした対策品の製作

 ノーマルの使用状態とは、装置の標準使用方法で、ガントリー上部に付けたスプールホルダーにフィラメントスプールを掛け、フィラメントセンサーを通してエクストルーダーに導入するという方法です。
 この場合、スプールホルダーが固定なので、フィラメント引き込み時に結構な摩擦が発生するのとフィラメントセンサー通過時の摩擦抵抗もあります。いずれも微々たるものなのですが・・。

 そして、対策品とはまずスプールホルダーにベアリングを入れた回転軸にすることです。

スプールホルダー対策品の外観

スプールホルダー対策品の断面図

更に、このままでは回転し過ぎるので、急激な引き込み力で過回転を軽減するために次のようなアブソーバー(吸収材)を製作しました
魚釣りの竿のような構造でエクストルーダーがフィラメントを「グイッ」と引っ張る力をしなやかに受ける役割をします。

テンションアブソーバー

 3Dプリンターではあまり見ない気がしますが、「テンションアブソーバー」(張力吸収材)と勝手に命名します。果たして、効果を発揮するのか・・・。
 対策品の取り付けは、標準のスプール軸取付の右側に取り付けます。

実際の装着状態

テスト結果

 いきなり結果ですが、テスト条件の分類と、テスト結果を下表にまとめました。

印刷条件の種類と結果

 対策品を使った場合の効果とインフィル密度の設定値の違いでの影響という観点でテスト品を比較してみました。
まず、①~⑦すべてのテスト品ですが、TOP面の表面粗さ具合いが見て頂けると思います。

テスト結果

左側の〇✖はTOP面の荒れのあるなしで、右側の〇✖はブリムの状態で下記に詳細を示します。
 これで明らかな違いとして、インフィル密度100→90%にすることで改善したということです。
一方、期待した対策品とは無関係にTOP面の荒れが出るということで、懸念したフィラメント引き込みによる影響ではなかったということです。

 よって、まず改善方法としては、インフィル密度を100%にしないということでした。

更に壁厚(上面底面含む)を分厚くし過ぎると同様の問題が発生しそうで今後の注意点になるのかなと感じました。(未検証)

 では、対策品は効果がなかったのか、いうことでテストピースをよく見比べてみると、次の違いがありました。ブリムを蛍光灯にかざしてみました。

ブリムの状態結果

 対策品無しでは右端のブリム部分に隙間が多く発生しており、肉眼では見えませんがパーツの本体内部にもその影響があるものと推察できます。
 一方、対策品を使用することで見事に解消されて綺麗なブリム面を形成しています。つまり、対策品を使用することで、右端側での印刷ムラが解消されることが分かりました。

追加テスト

 上記テストで大体の傾向が見えたのですが、一点確認すべき印刷条件で、印刷速度を変えた時の影響が抜けていましたので、ノーマル状態で印刷速度のみを250→60mm/sに変更して印刷してみました
 結果としては、ノーマル状態の印刷速度250mm/sでの出力とTOP面粗さ、右端ブリムの粗さ共に変わらない状態でした。つまり、印刷速度に関係なく、右端の印刷品質に影響があるということです。

まとめ

 ちょっと予想外の結果で解決しましたが、とにかくインフィル密度100%には気を付けようということと、今回製作した対策品も品質向上に役立つのではという感触を得られたことは大きな収穫でした。
 ブリムだからと言って、軽く見るのか、重要視するのか、皆さんはどちらですか?
この現象は、積層割れなどのトラブルになる可能性もあります。実際にはそのような経験していませんが、大きな改善策と思っています。

 もし、対策品についてもっと詳しい情報が必要な方がいらっしゃいましたら、プロフィール内のメールアドレスからご連絡ください。

【Neptune 4】半年使ってみた感想

 2万円強の3DプリンターEnder-3を思い付きで買ってから約3年。未だにその魅力にのめり込んで、飽き性の自分でもここまで続くとはびっくりです。今は新しいおもちゃ作りに没頭していますが、試行錯誤の連続で大量のゴミを作っています。

 このブログは、何とか3Dプリンターの楽しさを多くの方に知ってほしいと開設したものです。些細な情報ばかりで主に、FDM方式3Dプリンター(Ender-3,Neputne4)に関する気まぐれな記事を投稿しています。

 最近は、家庭用3Dプリンターの進化も著しく高性能化しています。
半年前にELEGOO社のNeputne4を購入し、今ではほとんどの製作品をこのNeputne4で製作しています。
欲しかった機能のほとんどを網羅して、最近ではAmazonで3万円台で販売されているようです。
競合他機種も多い中、私個人目線ではNeputne4が圧倒的にコスパが高いと思っています。
ただ、未だにネット情報が少なくて、購入を躊躇している方も多いのではないかと思っています。
また、購入はしたもののやっぱり使い難いと感じている方もいるのではないでしょうか?

 私が半年間使ってみた印象を下記にまとめてみました。少しでも参考になれば幸いです。
尚、以前の記事「1ヶ月使ってみた感想」で記載したところもご参照下さい。

 

ggblog.hatenablog.com

良い点

1.印刷速度

 最近はおもちゃの試行錯誤品を多量に印刷しており、殆どをPLAフィラメントで印刷していますが、印刷速度は150~250mm/s設定で行っています。Klipperマザーボードの採用でその効果がすごいと感じますが、スペック上のMax500mm/sは実運用で使う必要は特にありません。少し印刷時間が短くなる程度で、機械の損耗の方が心配です。TPUはまだ100mm/sでしか印刷していませんが全く問題ありません。
このスピードに慣れてしまうと、遅い速度での印刷ルーティンには戻れません。
 高速に伴う印刷品質への影響については定かではありませんが、気になる点もあり後述いたします。

2.LAN経由のリモート操作

 LAN接続環境を準備する必要があるのですが、私の場合は、古くなった安物無線ルータを中継器としてプリンターの横に置き、別部屋のリビングからPC操作での印刷データアップロード、印刷開始を行っています。
また、安物Webカメラ(3000円程度のもの)で時折、印刷状態監視を行っています。
USBメモリーは全く使いません。fluiddのモニター画面は非常に便利なので、絶対に使うべきだと思います。

3.印刷品質

 通常の印刷では問題なく綺麗な仕上がりで概ね満足しています。特に側面の綺麗さは、肉眼では積層痕さえも殆ど見えないくらい綺麗なこともあり、感激ものです。入力整形と圧力前進機能の効果なのでしょうか。

高さ20mmのパーツ拡大

TOP面については、インフィル100%印刷において、かなり粗さが目立ちます。長尺ものを印刷した場合、「ゴリゴリ、ゴリゴリ」とノズルが印刷面に接触する音が頻発し、案の定ガタガタの表面になります。

インフィル100%でのTOP面粗さ

 印刷速度との関係やその他の物理的な影響など、要因調査と対策方法について次の記事で紹介したいと思います。

4.オートレベリング機能

 初心者の方にとって、購入組立後、最初の難関がヒートベッドのレベリング調整だと思います。他機種では簡単にオートレベリング作業ができる機種もあるようですが、私が思うにNeputne4でのレベリング機能はちょっと面倒ですが、良くできていると思っています。
 Z軸に対するX軸、Y軸の直角度を保つためにも、調整ノブによる4隅の高さ調整ができる機能を残すことは良いと思っています。
初期の調整では、手順を間違わずに手動調整、オートレベリング調整、Z-Offset調整を行えば、後はほとんどレベリング操作する必要がありません。私も導入後これまでに、Z-Offset調整を1度行ったのみです。
尚、調整手順については、過去記事をご参照ください。

 

ggblog.hatenablog.com

5.ダイレクトエクストルーダ

 スペックではホットエンドを300℃までの過熱が可能なようですが、まだ、高温が必要なフィラメント(PCなど)を使っていません。エンプラを必要とする方には活躍しそうですね。
 ダイレクトエクストルーダは、ボーデン式に比べて、飛躍的にトラブルが激減します。私もこれまでノントラブルで操作もし易くよくできていると思います。
 このエクストルーダ、超高速で左右に動くわけですが、印刷面冷却ファンも外してかなりの軽量化設計もされていると想像します。でもモーターやベルトへの負荷そして華奢な筐体構造を考えると、無理な高速運転も如何なものかなと心配になります。
 そしてもう1点、フィラメントの引き込みについてですが、ダイレクトエクストルーダなので上面から引き込みます。つまり、フィラメントの引き込みに摩擦抵抗があると、エクストルーダが高速で移動するときに上に持ち上げられる力が働きます。その懸念材料がフィラメントセンサーでのわずかな僅かな摩擦抵抗やまた、フィラメントスプールを掛ける軸も固定なので、フィラメントを強く引っ張る瞬間にイナーシャによる力や静摩擦でエクストルーダを持ち上げる可能性もあります。
 これらの影響や対策について、次号の記事で調査し改良品の製作も紹介したいと思います。

6.PEIシート

 ヒートベッドにPEIシートが標準採用されているので、気に入っています。最近は他機種でも標準採用が多くなっているので、一択になってきてるのかなぁ。
今は、殆どPLAフィラメントを使っているので、ベッド温度60~70℃程度なのですが、全く跡形が残りません。

PEIシート

もちろんヘラのお世話になることもなく、簡単にべりっと剥がれてくれます。定着が悪いなと感じた時は、中性洗剤とスポンジでやさしく洗っています。定着具合については、表面汚れだけでなく、Z-Offset調整や印刷物の反りの問題などいくつかの要因がありますので、状況を見極めて対応する必要があります。

7.操作パネル

 簡単操作のカラー液晶タッチパネルで、非常に使い易いと思います。たまに変な日本語も混じっていますが、迷うことはなく基本的な操作ができます。特にうれしかったのが、レベリングのZ-Offset調整が0.01mm単位で出来ること。

レベリング表示

 基本的な操作は備わっているのですが、細かい設定(エクストルーダーの送り量設定など)がパネルからではできないものがあります。fluidd画面から設定できるのですが、解説情報が少なく、導入初心者には分かり辛いと思います。
 私の場合、印刷ルーティンにおいて、LAN経由のfluidd画面での操作がほとんどなので、印刷中断操作やフィラメント交換時のヘッド加熱以外ほとんど触る必要がありません。

8.冷却ファン

 印刷物冷却用のどでかいファンですが、設計思想は凄いなぁと感じます。ヘッド部から外したから広く大きくしたのかなぁ?ヘッド部の左右位置に拘らず、印刷物を強力に冷却するので冷却面積が広がります。ただ一部、X軸ガントリーの後ろ側はその恩恵に与らず全ての面とはなりません。実際にどれだけの効果があるのかは、検証できておらず、きっと良くなっていると信じています。
 また、当機にとって最大の難点であるファンの騒音の問題は、誰もがビビるぐらいの爆音だと思います。
ファン風力100%がデフォルト設定なので、導入当初は驚きました。
でも、低風量でも十分に冷却効果があることが分かりましたので、今ではスライサーの設定で10~30%程度に抑えて運用しています。

不満な点や私にとって不要な機能

1.冷却ファンの爆音(解決済み)

 上記でも述べましたが、導入当初に本当にびっくりしました。解決法もあるので、懲りずに調整してみてください。

2.スライサーソフト

 Neptune 4で対応しているのが、付属のELEGOO Curaのみです。2023年12月現在の最新UltiMaker Cura5.6.0でもまだプリンター設定できません。早くサポートしてほしいと願うばかりです。どなたか、良いスライサーを紹介して頂ければ幸いです。

3.フィラメント切れ検出センサー

 上記でも述べましたが、特に必要を感じず、フィラメント引き込みに余計な抵抗を加えている可能性もあるので、あまり使っていません。

フィラメント検出センサー未使用状態

 フィラメント残量近い場合は使うこともたまにありますので、フィラメント切れ端を突っ込んでます。

4.筐体の剛性(不安な点)

 Max500mm/sの印刷速度を謳う割には、華奢な筐体構造なので、そこまであまり信用して使う気になりません。推奨の250mm/sで十分運用できているので良いのですが、ガントリー部の剛性が品質に影響しているのでなないかと疑っています。
今後、補強策なども施して効果を見たいとも思っています。

5.情報・保守パーツが少ない

 新機種なので当然なのですが、それでもNeptune 4の国内情報が少な過ぎる。保守パーツも最近はちょくちょく出てきていますが、まだまだ少ない。トラブル時のメンテナンスがどこまでできるのか、不安が残ります。

6.X軸へのケーブル処理

 X軸側にいくケーブルですが、普通に組付けると上下に稼動する遊びのために装置の左側に空きスペースが必要になります。これが結構邪魔で、せっかくスマートな外観なのにこの出っ張りを何とかできないものかと・・。

ケーブルのはみ出し

海外の動画で蛇腹のガイドに入れた紹介もありますが、余計ごっつい感じで笑ってしまいました。どなたか、スマートないい妙案を頂けると助かります。

まとめ

 概ねNeptune 4に満足しています。印刷品質でまだ改善する必要がありますが、今後試したい対策案もあり、随時紹介していきたいと思っています。

 次記事ではエクストルーダのフィラメント引き込み抵抗に関する影響とインフィル100%時のTOP面ブツブツ調査と対策について記載します。