3DプリンターEnder-3を使った評価テストやアップグレード、独自改造、製作品の紹介などの記事を載せています。
今年の目標としていた「からくり玩具」の第1作目が、とりあえず形になりましたので紹介します。
テーマは、写真のおとり「自転車を漕ぐ人」です。
当初は、見て頂いた方に、にっこりとほほ笑んで頂けるようなユーモラスなものにしようかと抽象的な外観のものをイメージしていたのですが、試作を繰り返していくうちに、段々とリアルな雰囲気を出したいという欲が出てしまい、このような形になってしまいました。
それでは今回の作品の製作経緯を紹介いたします。
こだわり
まず、今回の製作においては、一環して小さなこだわりがありました。
こだわったのが、動力を伝える方法として身近にある輪ゴムを使うことでした。
身近なものを使うことで、より興味を持ってもらえるのではないかと・・。
正直、輪ゴムでちゃんと動くのかという心配もありました。
試作開始
漠然としたイメージをとりあえず形にしようと作ったのがこれです。
動きの基本的なものはイメージ通りだったんですが、抽象的な身体にリアルな頭を乗っけたので、家族に見てもらったら動作のことよりもまず見た目で「気持ち悪る~」と言われてしまいました。
確かに仰るとおりなので、このままではいかんと、2作目に着手して出来たのがこれです。
身体にはやや曲線を付けて身体っぽくしたり、帽子を被せたり、車体を少し格好良くしてみたりと工夫してみました。
これでかなり思い通りの形にもなり、家族や孫たちも結構楽しんでくれました。
当初の目的からすると、ほぼ完成形になりこれで一段落したかったのです。
何か物足りない・・・
上記作品は、輪ゴムを使って後輪を動かすチェーン代わりに使ったのですが、「前輪は動かないの~?」と言われて、「自転車って後輪だけやん」と反論していました。
しかし、動きを見ていると、やっぱり前輪も動かないと不自然な感じがします。
自転車の構造に拘った私が間違ってたことに気づきました。
自転車を表現するのではなく、「自転車を漕ぐ人」を表現することだと・・。
ここから、もう一度頭を空っぽにして、イメージを作り直しました。
3回目試作に向けて
- 「自転車を漕ぐ人」の姿をもう少しリアルにしたい。
- 前輪も回す。
- 身体も上下に動かす。
- 普通の家にもある輪ゴムで全て動かす。
- 駆動の手回しノブは背面にし、視角の邪魔をしない。
など意識しながら、一からの製作に取り掛かりました。
リアルな身体を作るには
人のモデルを全て自分で作るのは、私の場合不可能です。なので、一番メジャーな「MakeHuman」を使うことににしました。MakeHumanはフリーソフトで操作も触れば直感的に色々な体形やポーズなどが選べて、ライセンスもCC0適用とのことで自由に使えそうです。Fusion360への取り込みには、obj形式ファイルにエキスポートして取り込めば後加工が容易です。
(今回初めての使用なので全てに当てはまるか分かりませんが・・)
とりあえず、Fusion360に取り込んだ後、ソリッド化やパーツ分解加工などして目的の形状にしました。もっと拘った姿勢や動きを表現するにはBlenderというソフトを使えば出きそうですが、今回は使ってないので詳細は分かりません。
各部の駆動方法
手回し駆動の回転を輪ゴムでペダル回転となる主軸に伝えます。主軸ではカム機構で身体を上下に動かし、前輪後輪の動きに輪ゴムで連結して、ペダル回転は4節リンク動作となる足の動きに連動します。
3回目試作品は・・
そして出来た3回目は、
ほぼイメージ通りになったのですが、内部機構を隠そうと分厚い車体になったために動作時に身体との接触もあり、中々うまく動いてくれません。
輪ゴム駆動は、わずかな接触も大きな抵抗になります。色々手を加えてみましたが、車体が分厚くなったことがかなり影響しており、手直しを断念し4回目製作に取り掛かりました。
4回目製作(最終形)に向けて
3回目試作品の問題では、分厚くなった車体と足がリアルに太くなったことで干渉しやすくなったことでした。そこで4回目製作では、車体の裏面をオープンにして、1枚のベースフレームのみに全機構を付けることにしました。裏面をオープンにすることで車体は薄くでき、輪ゴム劣化時の交換も容易になりますし、動作機構が良く見えます。
ここで問題になってくるのが、回転軸の支持や回転部品の固定でした。支持はベース片点支持でできるのですが、オープン側の脱落防止をどうするか・・・。
色々試した結果、Φ2真鍮釘とΦ2Eリングの組み合わせが良く、そこそこ固定できて脱着も容易なので採用しました。
かなりあちこち削ったりしましたが、何とか動きました!
最終製作品が当初の写真となります。
スムーズな動きとは言えませんが、ほぼ目的の動作になりました。
輪ゴムって、ご存じのようにほんとに繊細です。少しの力で伸びが大きく、駆動伝達に使うときは、静摩擦やトルクなど真剣に考えたら、とても使おうと思えないものです。
なので余計に輪ゴムに拘って動かしてみたかったのです。
動画にしました
当ブログを始めて以降写真ばかりの紹介でしたが、動きを紹介するにはやはり動画ですよねぇ。初の動画掲載となります。
動きもぎこちなく、まだまだ未完成ですがとりあえず動きをご覧ください。
改良点や感想などコメントで頂けると幸いです。
製作を終えて
最終作品を保育園の子供たちにも見てもらったのですが、以外や反応が薄かったのです。大爆笑で大うけしたのが、2回目試作品でした。
このうなだれてつっ走る様子や関節が逆に折れ曲がってしまう時など受けるツボが違うのです。大人が見てもほっこりする”からくり玩具”を目指す私としては、非常にショックでした。何を目指したらいいのか・・。
結局、考えても仕方ないので、思いついたものを形にしていくうちにまた目指すものもはっきりするやろ、とあまり拘らないことにしました。
以上、今回初めて作った”からくり玩具”らしきものを紹介させて頂きました。