3DプリンターEnder-3を使った評価テストやアップグレード、独自改造、製作品の紹介などの記事を載せています。
3Dプリンターを使っている中で、色々なトラブルに遭遇するものですが、今回も新たな作品を制作中に発生したトラブルについて紹介します。
こんなトラブルご存じでしょうか?
まず、次の写真をご覧ください。
左側が正常品で、右側が顔がぶつぶつだらけになってしまった印刷物です。(ちょっと気味悪いですよねぇ)
これは、スライサーソフト(Ultimaker Cura Ver5.2.1) での設定値を少し変えただけで発生した現象です。
変更した内容は、「ウォール」の「壁の厚さ」設定だけです。
左側が1.2mm厚、右側が2.8mm厚です。
いくつか設定値を変えて印刷してみましたが、肉厚が厚くなると症状が出るようで、しっかり再現性があります。
ここまでで、これが原因だと分かる方いらっしゃいますか?
トラブルの発端は
当初は、「壁の厚さ」1.2mm厚設定印刷して、出来上がり具合もまぁこんなものでいいかー、と納得して首の下の台座を取り付けで軽くグリグリ回した時、「ボキッ」っと簡単に折れてしまったんです。インフィルを10%で印刷しているので、余計に折れやすくなっていたようで、改めて「壁の厚さ」2.8mm厚設定で印刷してみたら、当初の現象になってしまったということです。
トラブル発生の経緯
それでは順追ってトラブル発生するまでの経緯から説明します。
まず、何を作りたかったか・・、ご覧の通り人の頭部です。
頭部をモデリングするにあたり、「Makehuman(フリーソフト)」を使って、好みのモデルを作成し、エクスポートできるobj形式のデータをFusion360に取り込みました。
Fusion360内では、メッシュデータをソリッド化して、好みの平面で分割し、今回の頭部も首のところに取り付けのための台座もくっ付けて頭部モデルとしました。
ただ、これらの操作の中で、1点どうしても出来なかったことがありました。それは、頭部(スキンヘッド)と髪のパーツが結合できないのです。それぞれソリッド化は出来ていたので、仕方なく2つのパーツをSTLファイル化して、スライサーソフトCuraの中で、モデルを重ね合わせた状態で印刷したのです。
説明では分かり辛いので、Curaの中で下図のように頭と髪をくっ付けて印刷しました。
このように合体して印刷したことが、当初のトラブルと大いに関係があるようです。
トラブルの追求
まず、上記の通り、「壁の厚さ」設定に関係していて、再現性もあります。
ただ、これだけでは原因とは言えず、何か根本的な要因があるはずと現象をよく見てみました。
そして分かったことは、最初の写真のぶつぶつ顔を見て頂きたいのですが、下から顎の辺りまではきれいなのですが、そこから上になるとぶつぶつが出始めています。
そして気づいたのが、髪のモデルの印刷が始まった辺りです。
つまり、2つのモデルが重なっているところにぶつぶつが発生しているのではないかということです。
これまでも、モデルが重なった印刷を行った経験はありますが、気になったことがありません。今回のモデルは、複雑なメッシュデータをソリッド化したモデル同士の重なりなので、Curaが対応できなかったのでしょうか?
試しに髪のモデルを除外して、頭部のみ(スキンヘッド)を「壁の厚さ」2.8mm厚設定で印刷してみました。
概ねぶつぶつは消えています。これで、髪のモデルとの重なりが影響していることが明確となりました。なお、眼球部分や口腔部分は空洞になっています。
トラブルの要因と対処
間違いなく、複雑なモデルの重なり合った箇所に発生することが分かりましたが、「これってCuraのバグ?」それとも「Cura設定で解消できるもの?」という疑問が残ります。
そして対処方法ですが、「壁の厚さ」を薄くすることで解消することは分かりましたので、「壁の厚さ」1.2mm厚設定、「インフィル」80%設定として、とりあえず制作を進めています。
まだ、すっきりと納得できる解決法でもないので、モヤモヤ感の残る結果でした。
どなたか、この問題を解消する方法をご存じの方がいらっしゃいましたら是非コメントを頂きたいと思います。