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【Ender-3】スマホ用バックロードホーンスピーカーを作りました(2023/3/5更新あり)

 3DプリンターEnder-3を使った評価テストやアップグレード、独自改造、製作品の紹介などの記事を載せています。

 最近スマホ用ホーンスピーカーに興味を持ち始めたんです。
無電源で置くだけでスマホの音量を拡大するというものですが、たまたま簡単な構造のスピーカー付スマホスタンドを3Dプリンターで作ってみたら、結構な音量で響き渡るではありませんか。
 これは面白い!もう少し掘り下げて取り組んでみよう、と思ったのです。

スマホ用ホーンスピーカの情報収集

 スマホに関わる類は、世の中に大量にあるはず。ネット検索すると色んな商品や自作品が紹介されていて、インテリア重視の木製でカッコイイものが多いようです。千円以下の格安品もあれば、1万を超えるようなものまで・・。果たしてどんな音が出るんだろうか?
 3Dプリンターで製作した作品もいくつか見かけますが、まだ種類も少ないようです。
普通のスマホスタンドならば山ほどの作品がありますが、ホーンスピーカー付となるとやはりハードルが高いのでしょうか。もしくは、大した効果が得られないのでしょうか。
それならば、満足のいくホーンスピーカー付スマホスタンドを作ってみようと思ったのです。

試行錯誤の作品作り

 私自身、スピーカーとか音響の理屈とか全く無知のど素人です。音質を評価できるような能力は全く持ち合わせていません。ただ感覚的に「聞き易い」とか「耳障りだ」とか「聞き疲れる」とかいった感覚レベルの評価しか出来ません。
 とりあえずいくつか試作してみました。

当初の試作品の数々

 コンパクト重視、機能的、材料も少なく、印刷時間も短く、なんてことを意識しながら作ったのがこちらです。

当初の試作品

音質は・・

 確かにコンパクトでスマホの音がかなり大きくなりますが、どうしても耳障りな高音が強調され、落ち着いた感がありません。とても長時間聞いていられないような音になってしまうのです。

方針転換

 これではとても紹介できるような作品にはならないなぁ、と断念しかかったのですが、せっかく取り組み始めたのに断念するのはもったいない。
 そして思い付いたのがバックロードホーン型なのですが・・。
 バックロードホーン型といえば、大きな筐体で低音を響き渡らせるものという認識がありましたし、作りたい基本的なスタイルはコンパクトなスマホスタンドなので、当初はまず無理だろうとあきらめていました。
 ならばと、多少大きくなっても望む音質が出るのであれば、取り組む価値はありそうだな、と思い直して機能性も盛り込んで次のような目標設定をしました。

目標設定

・ 音量が大きくなる(当たり前)
・ 音質が聞き易く、長時間でも疲れない(重要)
・ 電源・電池を必要としない
・ スマホスタンド構造
・ コンパクトで置き場所に困らないレベル
・ スマホ姿勢が立てても横にしても使用できる
・ スマホを置いたまま操作が出来る
・ 充電用にUSBケーブルを付けたまま置ける
・ 手帳型(ブック型)のスマホケースを付けたまま置ける
・ 手帳型のスマホケースの蓋を横か裏で固定できる
・ スマホサイズが変ってもある程度対応可能

これを目指して作品作りをすることにしました。

制約事項・条件

 スマホといっても、大きさも異なれば、スピーカーの位置も異なるようです。
いろんな種類に対応することは無理なので、あくまでも自分所有のAQUOS sense4 liteを基準としています。
 スマホ差込口のサイズは、幅76m、厚み15mmで手帳型のスマホケースの蓋を開けた状態で丁度収まるサイズとしています。
 スマホのスピーカー位置は、底面右側に1ヶ所あり、USB差込口は中央にありますので、それぞれに対応した位置に配置します。
 また、選曲は、Amazon MusicのJ-POPをシャッフルで聞いています。
 音量は、ボリューム調整の0~15段階の6,7辺りです。


第1作目は・・

 バックロードホーン型って、単にホーンの経路を後ろに回したらいいだろうとコンパクト優先で作ったのがこれ。スマホの音の半分を後ろ、半分は手前に分けて作ってみました。
 

1作目 前面

1作目の外観

 音量は同じぐらいなんですが、中音当たりの響きが加わってこれまでの試作品とは違いを感じます。こんな短い経路でも効果があるんですよ。でも、この程度では満足はできない。また、コンパクトすぎてUSBケーブルにかなり無理が掛かる。

第2作目に向けて

 設計を根本的に変えて、まずホーン構造をしっかり設計しなければと、ホーンの理論から勉強しました。結局、解り易い指数関数を用いた断面積変化の式(エクスポネンシャルホーン)で要所要所の断面積を計算して設計図に落とし込もうとしたのですが、これがもう大変で、コンパクトにしたいという思いとは裏腹に想定した外形に収まりません。
結局は外形に合わせたホーン経路となり、理論通りにはなりませんでした。

2作目 前面

2作目 前面外観

2作目 後部外観

 さて音質は・・、かなりバックロードホーンらしい、中音部の響きが増して、耳障りな音がかなり少なくなっており、ボーカルの声が聞きやすくなってきました。
 ただ、何かまだ物足りない。もっとバックロードホーンらしさを生かしたいと思い、3作目に取り掛かりました。

そして、3作目は・・

 やはり、筐体が少しづつ大きくなることもやむお得ない。2作目でも行ったのですが、スマホを置いたときの死角部分(スマホの裏側)を利用して、奥行きを見え難くすることでコンパクト感を出すという方法をとってみました。
 高音部の右側のホーンも短いながらバックロードホーン型としました。

3作目 前面 スマホセット状態

3作目 右側面セット状態

3作目 外観

 1作目、2作目と比べるとかなり大きな筐体となってしまいましたが、スマホを置くとそれほどの大きさを感じません。(これは設計どおり)
 そして、音質ですが、私としてはかなり気に入ってます。落ち着いた響き音で、ボーカルや演奏などがそれぞれ分離して聞こえる様に感じます。(選曲にもよりますが・・)
 音源がスマホスピーカなので、低音を響かせるというのはまず無理と断念すると、これぐらいの音で十分でないかと自己満足しています。

 ホーン経路をシースルーで紹介しますと、次図のような構造にしています。

ホーン経路

分離した音をそれぞれ前面まで導いています。

機能面での特徴

 当初の目標にあります機能面を見ますと、

・USBケーブルを挿したままの視聴が可能。

USBケーブルを差込んでセット可能

・手帳型スマホケースを付けたまま乗せることが出来る。

・手帳型スマホケースの蓋を横に止めることが出来る。

裏面

・スタンドを横に倒せば、横向きでの視聴が可能。

3作目 横姿勢セット状態

スマホ差込口を分離パーツとしているので、サイズ変更が容易。

スマホ差込口

と、ほぼ目標に達したかなと思っています。

サポートなし印刷について

 前回の記事で「サポートなしの印刷を目指して」という内容を記載していましたが、正にこのホーン印刷に向けてのテストでした。今回の最後の作品も全てサポートなしで印刷しています。ホーンの出口部の仕上がりもきれいに出来ています。

ホーン開口部内側

まとめ

 とりあえず自己満足のいく出来栄えとなり、紹介させて頂きました。
本当は、ホーン構造の理論を踏襲した設計をしたかったのですが、力量がないこと、コンパクトさも重視したことなどから、とりあえず詰め込んだ結果となりました。
 もし、専門家の方が見られたら駄目出しがたくさんあり、より優れた設計をされると思います。もし、同じような思想で作られる方がいらっしゃれば、是非作品を拝見したいと思います。
 3Dプリンターでの成形は、内部の複雑な形状でも容易に作ることが出来き、今回のようなテーマにも絶好のツールだと思います。

 また、新しい作品が出来ましたら紹介していきます。

今回の印刷条件

・フィラメント材料:PETG 黒
・温度設定: ノズル235℃、ベッド80℃
・壁厚(上下含む):1.2mm
・インフィル: 10%
・印刷速度: 60mm/s
・サポート: なし
・ベッドへの密着性:なし

 この条件の印刷で約23時間掛りました。総重量は220gでした。
本当は、壁厚やインフィルをもっと増やしたかったのですが、印刷時間と材料が相当増えるので、ケチってしまいました。

 

【追記:2023/3/4】動画を追加しました

 こちらの動画も是非ご視聴ください。

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